省スペースでコストパフォーマンスに優れた「HP StorageWorks XP20000」戦略モデルの秘密エンタープライズクラスの機能を多くの企業に

日本HPが9月20日に発表したハイエンドストレージ「HP StorageWorks XP20000」は、最上位モデル「XP24000」と同等の機能を持ちながら、価格を25%ほど低く抑えた製品だ。これまでハイエンドストレージに価格的に手がでなかった企業にとって、魅力的な選択肢となりそうだ。

» 2007年09月25日 10時00分 公開
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 「HP StorageWorks XP」ファミリは、日本HPが提供するストレージシステムの最上位機種だ。1999年に第1世代が提供され、今年登場したXP24000/XP20000は第5世代に当たる。全世界累計で8000台、120Pバイト以上の導入実績を持っている定評のあるハイエンドストレージと言える。今回発表されたXP20000は、最新のXPファミリが備えるエンタープライズクラスの機能を導入しやすくした戦略モデルとなっている。その特徴を見ていこう。

標準ラック型のXPファミリ

 XP20000がハードウェア面での目を引くのは、その筐体サイズだ。XP24000は標準ラックスペースに収めることができないサイズだが、XP20000では先代のXP10000同様、標準的ラックと同等の大きさを採用している。

photo XP20000(右)はXP24000(左)に比べ拡張性は劣るが、標準ラックスペースに収まるサイズになっている ※画像をクリックすると拡大表示します

 最上位機種のXP24000の基本筐体は、専用設計であり 幅78.2cmだが、ユーザーにとってこの幅というは非常に重要な仕様だ。多くのデータセンターでは、設置スペースの割り当て単位が標準ラックを基に60cm幅を基準にしている。XP24000のラックは、基本筐体/拡張筐体とも60cmを超えるため、基本筐体を1つ置くだけでも標準ラック2本分の料金が発生してしまっていた。

 XP20000では、業界標準規格のラックを採用しており 幅59.7cm、データセンタ環境における標準的なスペース単位のラック幅にすっぽりと収めることができるようになった。細かい点に思うかも知れないが、運用コスト低減という観点からみると、設置料金が2倍の差になって現れる。さらに、XP20000のラック内の空きスペースには、他のサーバや周辺機器のデバイスを組み込むことができるため、スペース効率に優れている。XP24000や、同クラスの他社製品に比べ、その拡張性からXP20000がターゲットにする中規模システムのストレージ統合を行うには、この差は大きなものとなってくるだろう。

 またハードウェアの内部アーキテクチャーの改善を図っており、エンド・ツー・エンドでのデータパス4Gbps対応や、プロセッサ間負荷分散機構の採用によりXP10000に比べて、性能は70%(注)以上向上している。

(注)ランダムI/Oピーク性能での比較

 同時に、インターフェイス・モジュールを小型化したことで、運用面での柔軟性が向上している。XP10000では、同一ボード上に、ディスク制御とホストインターフェース制御のモジュールを搭載していたが、XP20000では、モジュールを分離し、別々のボードとして構成している。これにより、障害による交換時の影響範囲を小さくとどめることができるようになった。またモジュール自体を小型化したことで、従来の半分の単位で増設することが可能になり、コスト面、運用面での柔軟性が高まった。

  XP20000 XP10000
ディスクドライブ搭載数 0-240 5-240
外部ストレージ容量(論理・最大) 96PB 16PB
ホスト・ポート(最大) 48FC 48FC
チャネル・アダプタ・モジュール 2〜6ブレード 基本2ブレード(チャネル+ディスクの制御)
追加2ブレード(チャネル制御)
ディスク・コントローラ・モジュール 2ブレード 2ブレード(チャネル+ディスクの制御)
キャッシュ・メモリ 64GB(別に制御用12GB) 64GB(別に制御用6GB)
ローカルコピー・ペア数 16,000 8,000
リモートコピー・ペア数 32,000 16,000
論理デバイス数 64,000 16,000

第5世代XPファミリの先進機能

 XPファミリは、ハイエンドユーザーが必要とする高度な信頼性を確保する技術と、大規模環境の運用を効率化するのに不可欠な仮想化機能を備えたストレージだ。もちろん最新の第5世代では、機能も一段と強化されており、XP20000でもこの機能を利用できる。特にXPファミリの信頼性は、「Bullet proof」「Boot Once」「Disaster proof」という3つで表現できる、という。

 Bullet proofとは、「防弾」機能を備えることに起因して「極めて信頼性が高い」という意味ととらえるといいだろう。実際にHPは、先行モデルのXP12000に対し実際にライフル弾を撃ち込んでみる、というビデオをWebサイトで公開している。もちろん筐体は防弾仕様ではないので銃弾はあっさり貫通するが、銃撃により内部のコンポーネントが破壊されても、完全に二重化されたシステムは問題なく動作を継続した。

 また、Boot Onceとは「最初に一度起動したら、以後二度と電源投入の機会はない」という意味と考えるといいだろう。つまり、計画停止すら排除できるほど、緻密な設計が行なわれているということだ。例えば、制御ボード上に搭載されたプロセッサのファームウェアを更新するような場合、他社ストレージでは短時間とはいえI/O停止が発生してしまうが、XPファミリではボード上のプロセッサ単位で更新するため、更新中のプロセッサが担当していた処理は一時的に他のプロセッサが代替する。ボード上のプロセッサを1つずつ更新していくことでI/O停止を全く発生させずに済むわけだ。

 こうしたさまざまな工夫の積み重ねで、サービス停止を起こさない高レベルの信頼性を確保しているのだ。

 また、XPファミリでは災害対策(DR)ソリューションとしての運用実績も豊富で、それがDisaster proofというわけだ。HP自身が進めているデータセンター統合プロジェクトについては、多くのメディアでとりあげられているが、このプロジェクトでXPファミリのストレージを中心に、各種のDR関連ソフトウェアやテクノロジーが投入されている。自社で利用している技術を他社にも提供する、という見方をすれば、HPのDRソリューションがユーザーから高く評価される理由も明らかだろう。

HPシンプロビジョニング――物理容量以上のサイズの容量割り当てが可能に

 ストレージの仮想化機能については、新たにHPシンプロビジョニングと呼ばれる機能が実装され、より実用度を高めている。シンプロビジョニングとは、簡単に説明すると、物理容量以上のサイズの容量割り当てを可能にする機能と考えればいい。例えば、将来は2Tバイトの容量が必要になると見込まれるが、現時点では500Gバイトあれば足りる、といった状況はよくあるだろう。将来必要と見込まれる容量すべてを最初にまとめて確保してしまうと、初期投資額が膨らんでしまうと同時にストレージ利用率が低下、投資効率が悪化してしまう。かといって、最初に必要な分だけのボリュームを確保するということだと、後からの拡張が面倒になる。

photo HPシンプロビジョニング

 最近では、動的なボリュームサイズ拡張に対応しているストレージ製品は増えてきているが、ボリュームを利用するサーバ側のOSやアプリケーションは必ずしもこうした動的なサイズ拡張には対応していないため、ファイルシステムの作り直し、つまりボリュームの再フォーマットが必要となることが多い。これでは、ストレージの仮想化機能を生かしきれないことになる。シンプロビジョニングでは、ユーザー・アプリケーション側にはまったく影響を与えることなく柔軟なサイズ割り当ての変更ができる。これもまた実用面でインパクトの大きい新機能と言える。

 このほか、パーティショニングについては、ディスク容量のみでなくキャッシュやコントローラといったシステムリソースも分割して割り当てることが可能になっている。このため、特定のパーティションへのアクセスが集中し負荷が高まったとしても、その影響が別のパーティションに波及することがなく、安定的な運用が可能になる。

 こうした最上位のXP24000が備える機能を、初期導入コストを低下させたかたちで利用できるのはXP20000の大きなメリットだ。

「XP20000」で広がるDRの世界

 ハイエンドのDRソリューションになると、ローカルサイトとリモートサイトの両側に同一構成のシステムを配置し、広帯域のWAN回線で接続して同期コピーを行なう、という手法が採られる。XPファミリでは、筐体内での「フルデータコピー」と「スナップショット・コピー」(差分のみ保存)の2種類の手法をサポートし、さらに筐体外のデータコピーでは「同期」「非同期」「ジャーナル」の3種類の手法が利用できる。これらの技術を適切に組み合わせることで、コストと保護レベルのバランスを自由に設定し、必要性に応じた適切なDRソリューションを実現できる点もXPファミリの特徴となる。

 これは保護レベルの高い優れた手法だが、導入/運用に要するコストも高く、どんなユーザーでも気軽に導入できるというものではない。XP20000の導入しやすさを中小規模のエンタープライズ環境に活かすことを考えれば、ユニークな構成も可能になる。XP20000の仮想化機能で接続する外部ストレージをリモートサイトに設置し、最小限の投資でDRを実現する、という使い方だ。

 外部ストレージの接続に距離の制約は特にないため、ミッドレンジクラスの「HP StorageWorks EVA」を外部ストレージとしてリモート設置し、筐体内データコピーの技術を使って、リモートサイトのEVAにデータをコピーする。これまで利用してきたEVAをXP20000にアップグレードする、という機会にこうした構成をとれば、最小限の投資でDRも実現できることになり、投資効果の高いDRソリューションとして利用できる。

photo XP20000のユニークな使い方

 XP20000のストレージ容量を安価に拡張する手段として、外部ストレージのEVAを利用するという構成も現実的な手法だ。もちろん、ストレージデバイスとして備える機能には差はあるが、XP20000の仮想化機能で、それを補うことも可能だ。特に、運用管理のインターフェイスが統合され、個別管理の煩雑さが解消される点はメリットが大きいだろう。


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