異動対応でイケメン課長に遭遇女性システム管理者の憂鬱(1/4 ページ)

人事異動シーズンの単純なデータ移行も、システム管理者にはスキル獲得の格好の機会だ。一方でそれは、ユーザーの隠れた一面に触れる瞬間でもある。

» 2007年09月28日 07時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]

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 わたしがシステム管理者になったばかりのころ、大事な仕事として最初に説明を受けたのは、人事異動の対応だった。そのシーズン以外、あまり対応する機会もない業務だが、比較的簡単な作業である上、どの部署でも通用する共通の手順が確立されていたため、システム管理者のスキル「入門編」として位置付けられていたのだった。

 しかし実際には、その知識だけで4月、10月の人事異動の最盛期を乗り切ることは難しかった。なぜなら、転出するユーザーのデータ移行を行った後、翌日転入してくるユーザーのために、すぐにそのPCを初期化してカスタマイズする必要があるからだ。短期間でこれらすべてに対応するためには、事前の調整や想定外のケースに対応する柔軟さが求められる。

 また、ユーザーによっては抱え込んでいるデータ量も尋常ではなく、作業が深夜に及ぶことも多かった。作業自体は簡単だが、恐ろしく体力を消耗する業務の1つだった。ただ、ユーザーと直接やり取りしながら個人情報満載のPCデータを扱うこの仕事では、上司や同僚の普段目にすることのない一面をかいま見ることもできた。

管理者には重荷の異動シーズン

 わたしがシステム管理を担当していた会社では、人事異動シーズンともなると全国規模で数百人もの社員が動いた。グループ会社も同一ドメインに参加しているので、国内のどこに異動しても、たとえグループ間をまたいだ異動であっても、異動前と同じようにドメインに参加することが可能だった。そのため、異動前に使用していたPCのローカルデータさえあれば、今までとほとんど同じPC環境を引き継ぐことができる。社内のヘルプデスク担当にもイントラネットのFAQに手順を掲載するほど問い合わせが多いようだったが、システム管理者がいる拠点では、やはりPC知識のあるユーザーもデータ移行は管理者に任せる傾向にあった。

 人事異動のシーズンになると、異動の1週間前にイントラネットに情報が公開される。そこからがシステム管理者の多忙な日々の始まりである。自分の拠点から出て行くのは誰か、そして何人がどこから転入してくるのか、情報を確認した後、今度はそれぞれの対象者に向けてデータ移行に関するスケジュールや必要データについてのメールを送る。さらに、転入者用のPCアカウントの申請作業や当日までの段取りの調整など、できる限りの事前準備を進めておく必要がある。

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 拠点にPCが余っている場合には、これほど入念な準備をしなくとも簡単に転入者用のPCを用意することができるが、そんな余裕があることはまれだった。予算や保管スペースの関係もあり、ほとんどの場合ユーザーと同じ数のPCでぎりぎりの運営を行っていたため、数十人の転出者を送り出した翌日には、同じPCを数十人の転入者に割り振らなければならない。

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