NEROゲームがバージョン2.0への進化を達成集え、戦略家(1/3 ページ)

自分は一線級の戦略家であると自認しているゲーマであれば、NERO上でその腕前を試してみるといい。これ以上の思考力を要求される対戦ゲームというのもざらには存在しないはずだ。

» 2007年09月29日 01時30分 公開
[Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 昨年本サイトではNeuro-Evolving Robotic Operatives(NERO)というゲームを紹介したが、このゲームのプレーヤーは自律行動型のロボット部隊をトレーニングして別プレーヤーの軍勢と対戦させるのだが、その戦闘行動はすべて自分がトレーニングした人工知能(AI)の判断任せにするしかないという点で非常にユニークな存在となっている。今回のメジャーリリースは数週間前に行われたところだが、NEROにまつわる動きはそれだけに止まってはいない。

 そもそもNEROの開発は、テキサス大学オースティン校のコンピュータサイエンス学部におけるNeural Networks Research Groupにて進められたが、このプロジェクトは学生教育用の演習およびコンピュータにおける機械学習能力の研究という2つの側面を有していた。

 このゲームはプロプライエタリ扱いのTorqueゲームエンジンを使用しているが、Linux、Mac OS X、Windows用のバイナリがフリーで入手可能となっている。今回のリリースはバージョン2.0とされており、2005年の公開時から最初のメジャーアップデートリリースとなる。なお現状でも1.xシリーズのバイナリはダウンロードできるようになっているので、新旧両バージョンの違いを比べてみてもいいだろう。どちらのリリースも自己完結型の構成となっているので、両バージョンを同時インストールしてもコンフリクトの心配はないはずだ。

 Linux用バイナリはtarボールをgzip化した形態で配布されているので、各自のシステムの適当なディレクトリにダウンロードすればいい。ただしコンパイルされているのは32ビットIntelアーキテクチャーLinux用のものだけであり、サウンド再生にはOpenALを必要とする。ゲームを起動するには抽出後のディレクトリで./nero.binを実行するだけである。

 ここで一言注意しておこう。わたしが手元の環境で試した限り、NEROにフォーカスを移動するとCPU処理能力が独占されてしまう。実際、動作中のNEROをバックグラウンドに移動させると、CPU使用率が目に見えて低下することが分かる。オフィシャルなバグ/フィードバック用フォーラムも運営されているが、この問題が報告された形跡は見当たらない。それでもこの現象は今回試した2つのLinuxマシンで再現されているので、プレイする場合はその辺を覚悟しておく必要があるだろう。もともとこのソフトウェアは研究プロジェクトの一環として作られたものであり、多少のバグの残留は致し方ないといったところかもしれない。とりあえず、かなり長期間のトレーニングセッションを実行中のNEROに対するコアダンプを取ることはできたので、これがどの程度の功を奏すかは今のところ不明だが、取得結果を保存するようにはしている。

 はじめてNEROをプレイするユーザーは、オンラインドキュメントに目を通しておくべきだが、ここに説明されているのは実質的にゲームのメニュー構成と設定オプションだけである。実際にプレイするには、ゲームに組み込まれたチュートリアルを実行する必要があるだろう。基本チュートリアルは、このゲームにおけるコントロールシステムの操作法およびロボット部隊のトレーニング法の基礎を解説しているが、上級チュートリアルはNEROの根幹を成す機械学習モデルを詳しく解説しており、少なくとも理屈上は、その辺の知識を押さえておくことでロボット部隊のトレーニングを効果的に行えるはずである。

 ゲームの進行はNERO 1.xと変わりなく、時間をかけて自分のロボット部隊をトレーニングしてから、対戦相手との間で集団戦を繰り広げさせてトレーニングの成果を試すだけである。ただしNERO 2.0では、ゲームを構成するこれら双方のセグメントにおいて大幅な変更が施されている。

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