アプリ開発のマッシュアップで日本市場に期待――SerenaのバートンCEO

米Serena Softwareは、マッシュアップでビジネスアプリケーション開発が行える「Mashup Composer」を発表。日本での事業展開を拡大させる。

» 2007年10月19日 07時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 ビジネスアプリケーション開発支援の米Serena Softwareは、9月にマッシュアップでアプリケーション開発を容易に行える「Serena Mashup Composer」を発表。マッシュアップビジネスで日本市場の事業拡大を図るべく、積極的な投資を行うという。

ジェレミー・バートン氏

 このほど来日した同社のジェレミー・バートン社長兼CEOは、マッシュアップビジネスについて「企業のIT部門は限られたリソースでアプリケーション開発を行っている。だが、業務担当者はIT部門が提供できる内容よりも10倍以上のものを期待する。このような要求に100%応えるのは非常に厳しく、だからこそマッシュアップを利用した開発環境が求めらている」と話す。

 コンシューマー向けサービスで拡大したマッシュアップは、今や企業のITトレンドの1つになっている。米Salesforceを代表例に、IBMやOracleなどの大手ベンダーもマッシュアップサービスを始めつつある。

 「マッシュアップサービスに2年ほど前から注目し、ビジネスアプリケーション分野でどのような展開が可能なのか、時間を掛けて検討してきた。その結果、Microsoft Officeを使えるスキルを持ったユーザーであれば、誰でもアプリケーションを簡単に開発できるサービスを目指した」(バートン氏)

 β版として公開されているMashup Composerは、業務プロセスに基づいてドラッグ&ドロップ操作を行いながら、必要な機能を実装していく。Mashup ComposerではGoogleのオンラインサービスなどのWebサービスやAPI、またSalesforceの「AppExchanege」で公開されているSalesforce向けツールも取り込むことができ、ユーザーはこれらのツール類を簡単に追加できるという。

Mashup Composer

 同社のマッシュアップサービスでは、Salesforceなどのオンデマンド型アプリケーションや、Webインタフェースを持つシステムとも容易に連携できるのが特徴。「例えば、Salesforceに登録された営業案件をMashup Composerで作成した承認アプリケーションに取り込む。管理者が承認を行うと、そのデータをSalesforceに戻す、またはSAPの製造プロセスへ送信するといったフローをMashup Composerで容易に実現できる」とバートン氏は話す。

 Mashup Composerは年内に正式版を無償公開する予定。また、Mashup Composerのほかに開発状況の管理機能やセキュリティ機能、ロールバック機能などを追加する「Mashup Server」を有償のソフトウェアライセンスまたはASPサービスで提供する計画だという。さらには、Mashup Composerで利用できるツールの公開や売買が行えるWebサイト「Mashup Exchange」を、2008年初頭に公開する。

Mashup Exchange

日本市場に期待

 バートン氏は、マッシュアップサービスの本格展開と同時に日本での事業拡大を推進する考えだ。「コンシューマーを見ても日本は米国に劣らずWeb2.0のマッシュアップサービスが盛んな地域だ。将来マッシュアップに慣れた世代が社会に進出すれば、さらに求められるようになる」

 同社では、2008年3月にMashup ComposerおよびMashup Serverの日本語版をリリースする計画。また、日本の人員体制やパートナー規模を拡大させるとともに、2008年2月にはマッシュアップを利用したソリューション開発を目的とする「日本ソリューションセンター」を開設する。

 現在、同社全体の売り上げに占める日本市場の割合は数%程度だが、「まずはなるべく早く10%以上に引き上げたい」(バートン氏)としている。

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