「Vail」は非技術系ユーザー向けのツール――SerenaのCEO(1/2 ページ)

Serena Softwareのジェレミー・バートンCEOによると、同社はアプリケーション開発の方法を変革することを目指しているという。

» 2007年08月20日 18時24分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 Serena Softwareは新たな方向を目指して進んでいる。同社を率いているのは、ジェレミー・バートン社長兼CEO、そしてワールドワイドマーケティング/パートナープログラム/オンラインサービス担当のレネ・ボンバニー上級副社長だ。米eWEEKは、カリフォルニア州サンマテオにあるSerenaの本社を訪れ、同社の計画について両リーダーに話を聞いた。

eWEEK Serenaはマッシュアップツールの「Vail」を発表しましたが、このオンラインサービスというのはどのようなものですか。どんなユーザーがどういった形で利用するのでしょうか。

バートン このサービスを提供するデータセンターは、OpSourceという企業に置かれています。Vailのランタイム環境は同社のデータセンターにあり、それをオンラインサービスに変えるのに必要なものはすべて同社にそろっています。インターネットの素晴らしいところは、グローバルなネットワークを利用できるのでアプリケーションがどこに置かれているかは重要でないという点です。

ボンバニー これは巨大なデータセンター上で稼働するサブスクリプションモデルだと言えます。このデータセンターは当社が運用するのではありませんが、これらのアプリケーションを1ユーザーに付き月額いくらというサブスクリプション方式でユーザーが利用するための環境をOpSourceと共同で提供するのです。Salesforce.comなどと同様の方式です。ユーザーが開発するマッシュアップを提供する施設もいずれ用意するつもりです。そうなれば、当社がマッシュアップ取引市場を通じて公開する多数のビジネスフローをマッシュアップする企業からなる巨大なエコシステムが出現するでしょう。

eWEEK 「雲の中に配備する」という表現をされていましたが、それはどういう意味ですか。

バートン 当社の方式は幾つかの点において、アプリケーションサーバ上に標準的なアプリケーションを配備するのとは異なります。これはOracleのJDeveloperなどの開発環境に代わるものです。その違いは、プログラマーがいなくても利用できるという点にあります。

 ユーザーがアプリケーションを配備する際に、Serenaのアプリケーションサーバを購入する必要はありません。アプリケーションサーバ市場はもはや過去の市場です。われわれがユーザーに言うのは、「アプリケーションを配備するには、配備メニューにアクセスするだけでいい。そうすれば自動的に雲の中に入ることができる。つまり空の上にあるアプリケーションサーバにアクセスし、30日間無償でアプリケーションを利用できる」ということです。30日後に、われわれはそのアプリケーションに利用価値があるかユーザーに尋ねます。答えが「イエス」であれば、「月額これこれの料金で利用いただけます」というわけです。

 しかしそのアプリケーションはサンタクララにあるデータセンターで運用され、OpSourceがそれを管理しています。

 これは大手ソフトウェア企業のビジネスモデルを破壊するものです。なぜなら、もしBEA Systemsが方針を転換し、「BEAのアプリケーションサーバを空の上に置き、顧客はこれまでのように何百万ドルではなく、1万ドルほど支払うだけでいい」と宣言すればどうなるでしょう。BEAの幹部はウォール街に行き、「今月から1500万ドルの取引を1万ドルの取引に変更することにした」と言わなければならないでしょう。つまり、これは技術の問題である以上にビジネスモデルの問題なのです。

eWEEK SalesforceがApex言語でやっていることと、Serenaのソリューションの制約条件との間には、トレードオフが存在するように思えます。

バートン その通りです。Salesforce環境を最終的にコントロールし、この環境をカスタマイズしたいと考えるユーザーが、そのために必要な専門知識を持っているのであれば、彼らの方式を選択するでしょう。

 技術的な専門知識が不十分なユーザーの場合や、ビジネス部門のスタッフでも作成・マッシュアップできるような極めてシンプルなプロセスフローを望んでいるユーザーの場合は当社の方式が適している、というのがわれわれの考え方です。確かに、この種の環境は、プログラミング言語を使える環境と比べるとコントロールという点で制約があります。この環境ではユーザーが行えないこともあるでしょうが、それは多くの複雑な部分を見えないようにしたからです。しかしこれは仕方がないことだと、わたしは割り切っています。というのも、向こう10年間で登場する大多数のアプリケーションはシンプルなものになるだろうと考えているからです。

 われわれがこれをやらなければ、ほかの企業がやるでしょう。コンシューマー分野では既にその状況が見られます。Facebookには3カ月で3000本ものアプリケーションが登録されているのです。

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