第2回 組織知性とパフォーマンスマネジメントビジネスインテリジェンスの新潮流 〜パフォーマンス マネジメント〜(1/3 ページ)

今再び注目を集める「BI:ビジネスインテリジェンス」。だが、組織全体で共有されないインテリジェンスでは意味がない。連載2回目は、情報を共有することで可能となる「パフォーマンスマネジメント」の真髄を探る。

» 2007年10月23日 20時45分 公開
[米野宏明(マイクロソフト),ITmedia]

個人知性 VS 組織知性

 本連載の第1回で述べたように、伝統的なBIは、個人の経験と資質に頼ってしまう。従って、このアプローチを取る限り、個人の分析能力向上のために膨大な投資をし続けるか、優れた分析能力を持つアナリストを高給で雇用し続けるしかない。しかし、その努力が報われる保証はなく、これではリスクが高いと言わざるを得ない。近年の「BI標準化」や「BIコンピテンシーセンター」のような、BIリソースの集約化アプローチもあるが、それらが利点として訴えるデータ集約や管理体系、分析はあくまで業務の効率化のための手段であり、前述のようなBIの失敗要因を抱え込んだままだ。この本質的な問題を解決するためには、個人の経験のばらつきを、組織全体でならす(最適化する)アプローチが必要だと考えている。

 それぞれの個人は、その適性や能力には関係なく、固有の経験を持つはずだ。その固有の経験から生まれる物の見方や意思決定は、ある特定の場面においては、同じ経験を持たないほかの個人による意思決定よりも優れている可能性がある。しかし同時に、その固有の経験による先入観が、適切な意思決定を阻害することも考えられる。従って、この個人固有の経験を、何らかの手段により組織内で共有できれば、各個人の意思決定にまったく異なる着眼点を取り込むことができ、意思決定の質の向上やリスク回避が可能になるはずだ。

 つまり、個人の資質向上に賭けるよりも、組織全体での知性のレベル向上を目指そう、ということである。突出した個人の才能よりも調和のほうを好む日本企業の風土にもフィットするアプローチではないだろうか。では組織で、個人同士の経験をどのように共有できるだろう?

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