F1を主催する国際自動車連盟(FIA)のモータースポーツ評議会は10月下旬、来年度から10年間のF1エンジンの開発を禁止する規則を決定した。これは、年を追うごとに高騰化するレースカーの開発コストや、レースの運営コストの削減を狙ったものだと言われる。
桜井氏は、「この規則が施行されれば、今後は車体やドライバーの運転操作を支援するシステムの開発がますます重要になるだろう。チームスタッフ全員とドライバーが情報を共有するコミュニケーションなどの領域でもIT化が注目されると思う」と話す。
また、片山氏は「例えばヘルメットのバイザーに情報を表示する『ヘッドディスプレイ』は、視線を移動させずに情報を見ることができるので、運転に集中できる。このようなシステムに注目したい」という。
中嶋選手は、「IT化でF1の運転が楽になるというよりも、むしろ車の高性能化に合わせて高度な運転技術を求められるようになる。また、たくさんの情報を瞬時に判断する力も求められるので、体力と精神の両面で成長したい」と述べた。
WilliamsチームのIT戦略について、テイラー氏は「例えばタイヤ性能が走行環境によってどのように変化するのか、ギアボックス(変速装置)の設計や品質向上といったレースカー内部の部品開発の分野にもスーパーコンピュータを展開していきたい」という。最後に、「ITシステムの成功がチームの成功につながると確信している。チームに在籍して9年が経つが、チームの成功が私自身のキャリア目標でもあり、選手権の王座を争えるチームを目指したい」とテイラー氏は抱負を述べた。
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