日本の市場ニーズが世界のスマートフォンをデザインする――シンビアンがプライベートイベントを開催(1/2 ページ)

シンビアンは、今年で5回目となるプライベートイベント「Symbian Summit」を開催。スマートフォン用OSの最新動向について紹介した。

» 2007年11月07日 21時57分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 シンビアンは11月7日、今年5回目となるプライベートイベント「Symbian Summit 2007」を東京都内で開催した。Symbian OSの最新の市場動向や、10月に英国で発表した技術などについて、業界関係者や開発者を対象に説明を行った。

久代表取締役社長

 会場では冒頭、シンビアンの久晴彦代表取締役社長と英Symbianのナイジェル・クリフォードCEOが、国内および世界の市場動向を説明した。

 まず、久氏はあいさつの中で「折しもGoogleが携帯電話プラットフォームへの進出を発表したタイミングと重なった。この機会にスマートフォンOSの最新動向について、ぜひ理解を深めていただきたい」を述べた。

 国内では2003年に富士通の「F2051」「F2102V」からSymbian OSの搭載が始まり、2005年に三菱電機、2006年にシャープ、ソニー・エリクソンでも採用。これまでNTTドコモ向けのFOMA端末64機種に搭載され、累計出荷台数は11月中にも3000万台を突破する見込みだ。「これまでの実績は、パートナーとの協力が実ったもの。世界では約300社、日本では30社以上のパートナーがわれわれのビジネスを支えている」(久氏)

 また、昨年3月に発表した最新バージョン「Symbian OS v9.5」への移行も本格に始まった。同バージョンでは、旧バージョンとの互換性を確保しつつ、セキュリティ対策の強化やパフォーマンスの向上を図ったのが特徴。また、東京都内に開設している「TTG(Tokyo Test Group)」では端末メーカーに対して最新OSの環境おける開発を支援しているという。

 2008年の事業展開について、久氏は「日本での携帯電話の使われ方に注目し、世界に発信していきたい。スーパー3G/LTE(Long Term Evoluton)、WiMAXといった新たな高速通信サービスが数年内に始まり、ユーザーインタフェース(UI)の技術革新も始まった。日本市場で起きる変化が世界市場の変化の出発点になる」と話した。

 通信速度の高速化やiPhoneに代表されるディスプレイタッチ型UIの普及を踏まえ、Symbainは10月に英国で開催した「Symbian Smartphone Show 2007」で、UI用アーキテクチャー「ScreenPlay」と、IPネットワークアーキテクチャーの「FreeWay」、高度な電力管理を可能にする「SMP(Symmetric Multi Processing)」を発表した。「シンビアンはグローバル企業。市場環境が変化していく中で、われわれはこうした最新技術を通じて日本のベンダーの世界進出を支援していきたい」と述べた。

10台に7台はSymbian

クリフォードCEO

 クリフォード氏は、昨日発表した2007年第3四半期業績を説明。同四期中に世界で出荷されたSymbian端末数は、前年同期比56%増の約2040万台で、「採用端末は134機種に広がった。スマートフォン市場は2005年に比べて3倍に拡大し、スマートフォンの10台に7台はSymbian端末だ」(クリフォード氏)

 また、地域別シェアでは同社の基盤となる欧州・中東市場だけでなく、アジアや南米でも拡大。「特定の地域(北米)を除いては好調。だが、特定の地域においても、われわれはシェア拡大に向けた活動を推進していく」と述べ、iPhoneやWindows Mobile、BlackBerryが市場競争を繰り広げる北米のスマートフォン市場へ積極的に進出する考えを示した。

 グローバルでの事業展開について、クリフォード氏はScreenPlay、Freeway、SMPを軸に次世代のワイヤレス市場でスタンスを確立すると表明。さらには、Symbian環境に対応できる開発者の育成が重要だとの見解を示し、「世界トップシェアのスマートフォンOSとして、Symbainの大きな『世界』をパートナー企業、開発者とともに広げていく」と話した。

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