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» 2007年11月07日 03時15分 公開

携帯に押し寄せるPCのトレンド、「業界大手との競争には慣れている」――英SymbianのクリフォードCEO

年次イベント「Symbian Summit Tokyo 2007」の開幕を目前に控えた11月6日、英SymbianのクリフォードCEOとウッド副社長、シンビアンの久社長がSymbian OSの現状と今後のビジョンについて説明。同日、Googleが発表した携帯向けOSについてもコメントした。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo 英Symbianのナイジェル・クリフォードCEO

 シンビアンの年次イベント「Symbian Summit Tokyo 2007」の開幕を目前に控えた11月6日、英Symbianのナイジェル・クリフォードCEOとデビッド・ウッド副社長、シンビアンの久晴彦社長が、Symbian OSの動向や今後のビジョンについて説明を行った。

 なお同日には、GoogleがLinuxベースの携帯電話向けオープンプラットフォーム「Android」を発表したこともあり、記者からはその影響についての質問が飛んだ。これに対し、クリフォード氏は「アライアンスの内容を精査しているところであり、(対抗する関係になるかについては)詳細を把握するまでは答えられない」と前置きした上で「Symbianは業界の大企業と競争することに慣れている。オープンソースの取り組みについても、Symbianは9年間にわたってサポートしている」と自信を見せた。

 Linuxベースの携帯向けプラットフォームについては「すでに10〜20のものが市場に出回っており、統合するよりバラバラになるスピードの方が速いとも考えられる」とする一方で、「業界最大手の参入が、このプラットフォームの重み付けになることはあり得る」という見方を示した。

3つの新技術でモバイルのトレンドに対応――クリフォード氏

 クリフォード氏は、第3四半期のSymbianの業績について好調に推移していると説明。全般的な売上は前年同期比30%増の5240万ポンドとなり、Symbian OS搭載機は前年同期比56%増の2040万台を出荷。累計出荷台数は1億6500万台に達した。第3四半期までのの出荷台数は約5500万台で、この数は昨年度1年分の出荷台数をすでに上回っているという。

 前年同期には1台あたりのロイヤリティが8%減となっていたが、これはミッドレンジの端末への搭載を進めるために、18カ月前にあえて新たな価格を導入したことが理由だと説明。Symbian OS搭載機の出荷台数が56%増加したのはその結果だとし、狙い通りであることをアピールした。

 2010年までには全ての携帯電話の20〜30%をスマートフォン占めると予測され、2010年には累積出荷台数が10億台に達すると予測する調査会社もあるとクリフォード氏は説明。北米を除くエリアでシェアトップというマーケットリーダーの座を維持すると宣言した。

 スマートフォンの世界ではさらなる高機能化や高速化が進み、適切なユーザーインタフェースや電力管理の仕組みが求められていることから、Symbianは10月の年次イベントで3つの新たな技術を発表している。1つは固定ブロードバンドの性能をモバイルで実現することを目指した新IPネットワーキングアーキテクチャの「FreeWay」で、高速通信や高品質のVoIPをサポートする。2つ目はリアルなアニメーションやオーバーレイの効果をユーザーインタフェースに取り込む「ScreenPlay」。3つ目はアプリの利用に応じて細かく電流を制御し、バッテリーの持ちを向上させる「SMP」だ。

 クリフォード氏は、Symbianは将来に向けた技術と適切なパートナー、製品を提供できる点が強みだといい、それがパートナー企業や顧客の利益の向上に貢献できるとした。

Photo 英Symbianの第3四半期の業績(左)と、グローバルのシェア(右)

Photo Symbianのエコシステムを構成するインターネット企業各社(左)。2008年以降のトレンドとSymbianのフォーカス分野

  • →シンビアンの年次イベント「Symbian Summit Tokyo 2007」の展示会場で披露された「ScreenPlay」のデモ

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携帯先進国の日本の動向を重視、それに見合う技術をシンビアンとしてサポート――久氏

Photo シンビアンの久晴彦社長

 Symbian OSは、NTTドコモがプラットフォームの1つとして採用していることから、日本の携帯市場でも高いシェアを獲得している。Symbian OS搭載機の累計出荷台数は今月中にも3000万台を突破する見込みで、「1000万台突破までに3年、2000万台までに1年、3000万台までに約半年」というように、そのペースは加速していると久氏は説明。Symbian OSを搭載した端末は、11月6日時点で6メーカーから64機種が登場しており、今年だけでもすでに20機種がリリースされたという。日本市場でSymbian OSが好調な理由として久氏は(1)ドコモのプラットフォームに採用されたこと(2)2.5Gから3Gへの移行が速いスピードで進んだこと(3)Smbianがキャリアやメーカーの要求する機能を製品に取り入れたこと を挙げている。

 日本市場は3Gが急速に普及し、新たなコンテンツやサービス、技術が世界にさきがけて投入されることから、シンビアンにとって重要な市場だと久氏。こうしたニーズを汲んで、シンビアンとして的確にサポートしていかなければならないという。

 日本では2010年にもドコモがスーパー3Gが導入する予定であることに加え、端末の多機能化に伴いユーザーインタフェースを見直す機運が高まっている。こうしたニーズにシンビアンは、「iPhoneを凌駕するような新たなUIを創るための技術であるScreenPlayや高速通信を可能にするFreeWayで対応できる」(久氏)とした。「将来にわたってサポートしなければならないのは品質とパフォーマンスとセキュリティ。将来の動向を見て、それに見合う技術をシンビアンとしてサポートする」(久氏)

 日本市場のサポートの一環として、通常はインド、英国で行っていた端末のテストを東京でも行えるよう「TTC」(東京テストセンター)を設立。また、今後は日本の端末メーカーが海外に進出するためのサポートにも注力する方針だ。

 また11月7日には第5回目となるシンビアンの年次イベント「Symbian Summit Tokyo 2007」を開催し、同社の今後のビジョンを紹介するとともに、ScreenPlayなどの新技術を披露する。

Photo 日本市場のトレンドとSymbianのフォーカス分野(左、中)と、それに対応するSymbianの新技術(右)

スマートフォン市場に新たなトレンド、その要因とは――ウッド副社長

Photo 英Symbianのデビッド・ウッド副社長

 順調に推移するスマートフォン市場に混乱の兆しがあると指摘するのは英Symbianの副社長、ウッド氏だ。同氏は「いろんな力が同時に働いてスマートフォンの状況を変えつつある。今後数年間でいろいろなトレンドがスマートフォンの将来を変えるだろう」と予測し、状況を変えるいくつかの要因挙げて説明した。

 1つはモバイルの世界にWeb 2.0の波が押し寄せている点だ。大手企業がスマートフォン市場への参入を目指すようになり、モバイルの世界で競合が始まっているという。またモバイルの世界でオープンソースが伸びを見せている点も見逃せないという。

 ウッド氏は、Symbianはこうした新たな動きに対する準備はできているとし「準備ができていれば、こうしたトレンドがすばらしい機会を提供する」と自信を見せる。コンピュータのメインストリームの技術がスマートフォンに使われるようになることは織り込み済みで、それを見込んでテクノロジーや開発システムを改善してきたからだ。

 例えばオープンソースについては、ソリューションとして適切なものだと考えており、ツールの多くがオープンソースをベースにしているという。「開発で主に使っているプラットフォームもオープンソースシステム。またSymbian OSの中にオープンソースのコンポーネントを組み込んでいる」(ウッド氏)。ただ一方で、業界で必要なのは強力な統合性であり、(Linuxのように分散している)オープンソースが多くのスマートフォンにとって正しいソリューションであるかは疑問に感じているとも付け加えた。

 ウッド氏は携帯電話がインターパーソナルなコンピュータへと進化する中、スマートフォンのOSとそれを取り巻くエコシステムが、あらゆる種類のデバイス開発に必要な機能を提供できると強調した。

Photo スマートフォン市場の状況を変化させる要因

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