ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天が2026年年頭所感を発表 「AI」「経済圏」での競争が軸に?

» 2026年01月05日 12時55分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天グループは2026年1月、各社トップの年頭所感を公開した。2026年の幕開けに際し、国内通信大手4社のトップが年頭の抱負を発表した形だ。生成AIの急速な普及と産業構造の変化を受け、各社はAIを基軸とした事業変革と、金融分野を絡めた経済圏の拡大を加速させる方針を強調している。

NTTドコモ KDDI ソフトバンク 楽天モバイル 左から順にNTTドコモの前田義晃社長、KDDIの松田浩路社長、ソフトバンクの宮川潤一社長、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長

NTTドコモ:AIの全面導入と金融融合で顧客体験の極大化を図る

 NTTドコモの前田義晃社長は、これまでの常識や産業構造が書き換えられる時代に立ち、2026年を変革が結実する年と位置付けた。2025年、NTTドコモ、NTTドコモビジネス、NTTドコモ・グローバル、NTTドコモソリューションズの4社が一体となった運営体制を構築し、顧客起点の事業運営を推進してきた成果を強調している。

 通信品質の面では、5G基地局の構築を加速し、最新装置の導入とAIによる最適化を通じて、さらなる改善を実感できるレベルまで高める計画だ。災害対策においても自治体や地域企業と連携し、レジリエンスの強化に努める。

 顧客基盤の強化策としては、マーケティング変革の象徴である「ドコモ MAX」の特典をさらに拡充する。2月からは特典対象に映像配信サービスの「Lemino」や「dアニメストア」を加え、「DAZN for docomo」や「NBA docomo」と合わせた選択肢を提供する。特にWOWOWとの提携による独占コンテンツの投入は、エンターテインメント領域の競争力を引き上げる。

 スマートライフ領域では、提供開始から短期間で100万契約を突破した「dカード PLATINUM」や「ドコモでんき」の勢いを維持しつつ、8月には「ドコモSMTBネット銀行」を始動させる。1億人を超える会員基盤と三井住友信託銀行の専門性を融合し、生活と金融が一体化した体験の創出を目指す。法人向けにはAI-Centric ICTプラットフォーム構想を推進し、日本全体のデジタルトランスフォーメーションをけん引する。あらゆるサービスにAIを組み込み、顧客に寄り添う価値提供に挑戦する構えだ。

NTTドコモ KDDI ソフトバンク 楽天モバイル NTTドコモ、三井住友信託銀行、住信SBIネット銀行は、住信SBIネット銀行の商号を2026年8月3日から「ドコモSMTBネット銀行」に変更する。ドコモが持つアセットを生かした提携も視野に入れている。例えば、「ドコモのエンタメアセットを金融商品化し、ポイントやイベント招待など、ドコモならではの特典を付加し、投資を楽しむ新しい体験を提供する」ことを想定している

KDDI:通信と金融の高度な融合と共創による次世代の街づくりへ

 KDDIの松田浩路社長は、「夢中に挑戦できる会社」を掲げ、通信とリアルを融合させた価値創造を継続する。2025年は米スペースXの低軌道衛星Starlinkとスマホが直接通信するサービス「au Starlink Direct」の開始や「Real×Tech LAWSON」の開業、さらには5Gの通信品質で世界的な評価を得るなど、着実な成果を収めた。

NTTドコモ KDDI ソフトバンク 楽天モバイル KDDIはいち早く衛星通信サービス「au Starlink Direct」を開始。4月の提供開始当初はauユーザー限定のサービスであったが、5月には専用プランを新設し、他社回線の利用者へも対象を広げた

 2026年は新たな中期経営戦略の開始年であり、高輪ゲートウェイの新本社を未来への実験場に見立て、約1万3000人の社員が新しい働き方を実践する。ローソンをはじめとするパートナー企業との共創を通じて、次世代の街づくりに取り組む。金融事業では、金利のある世界への転換を好機と捉え、銀行機能を中核に通信と金融の融合を深化させる。

 また、正月から放送を開始した「三太郎シリーズ」の新作CMでは、「とどけ、ぜんぶ。」というメッセージを掲げ、人と人をつなぐ情緒的な価値を再定義した。失敗を恐れずに挑戦する風土を醸成し、2030年に向けたビジョンの実現にまい進する意向だ。

ソフトバンク:AIエージェントとフィジカルAIが創る次世代インフラの完成

 ソフトバンクの宮川潤一社長は、2026年を「AIエージェント」が広く浸透し、「AI共存社会」が本格的に立ち上がる年と定義した。同社は全社員が日常業務でAIを使いこなす環境整備を進めており、既に250万を超えるAIエージェントが社内で稼働している。

 経営面では営業利益1兆円の達成を視野に入れ、コンシューマー事業の堅調な推移に加え、企業のAXを支援する「X-Ghost」などのエンタープライズ事業が成長をけん引している。インフラ面では、国内1位の性能を誇る計算基盤を構築し、国産LLMである「Sarashina mini」の商用化を実現した。北海道苫小牧市や大阪府堺市のAIデータセンターを順次稼働させ、次世代社会インフラとしての地位を固める。

 2026年は、AIとロボティクスが融合した「フィジカルAI」が物理空間で自律的に行動を開始する段階へ進む。安川電機との協業を軸に、物理的な社会課題の解決に挑む。次期中期経営計画の策定を通じ、社会にとって最も役に立つ会社を目指し、積極的な挑戦を続けるとしている。

楽天グループ:モバイル黒字化とAIの民主化が導くエコシステムの進化

 楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は、2025年度における連結営業利益の黒字継続と、楽天モバイルの単体黒字化に向けた確かな進捗を報告した。楽天モバイルとRakuten AIを軸とした「楽天エコシステム」の年間グローバル流通総額は48兆円に達している。国内EC流通総額は過去最高の6兆円を超え、楽天モバイルの契約回線数もサービス開始から5年8カ月で1000万回線の節目を突破した。

 楽天グループは、引き続き「AIの民主化」を進め、誰もが手軽に高度なAIを活用できる環境を整え、Eコマース、フィンテック、モバイル事業で蓄積された膨大なデータを活用した独自AIの開発に注力する。楽天カードの取扱高や楽天銀行、楽天証券の口座数も順位を上げ、これらをAIで有機的につなぐことで、さらなる利便性の向上を図る。三木谷氏は、世界が産業構造の変革期にある中で、データとAIを最大限に活用し、あらゆる人々が自由にお手頃なサービスを享受できる社会の実現をグループ一丸となって目指すと締めくくった。

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