Huaweiの折りたたみスマートフォン「HUAWEI Pura X」は、これまでの縦折り・横開きとは異なるサイズ感を採用した異色のモデルだ。画面を開くとワイドな比率のディスプレイが現れ、従来の折りたたみスマホとはひと味違う使用感を体験できる。
今回は、このユニークな折りたたみスマホを中国で購入してきたので、レビューしたい。
Pura X最大の特徴は、まさにそのサイズ感にある。開いた状態は91.7(幅)×143.2(高さ)×7.15(奥行き)mm、閉じた状態では74.3(幅)×91.7(高さ)×15.1(奥行き)mm というサイズで、ポケットへの収まりもよい。
フリップタイプのモデルと同様に、ディスプレイを縦方向に折りたたむ構造を採用しているものの、画面を閉じるとどことなく書籍のようなサイズ感になる。本体はアルミフレームを中心に構成され、仕上げは高級感がある。重量は約194gと折りたたみ機としては軽量で、手に持ったときのバランスも悪くない。
開いた状態では、6.3型(2120×1320ピクセル)の有機ELディスプレイが現れる。画面輝度は2500ニトと明るく、視認性も良好だ。LTPO技術を採用し、1〜120Hzの可変リフレッシュレートに対応し、動画からブラウジングまで滑らかな表示が楽しめる。
画面の比率は16:10と一般的なスマートフォンよりも横方向に広く、6.3型という数字以上に広く感じる。展開時のサイズでは横幅の大きいスマホという感覚で、片手持ちもできる。縦開きの端末ながら、展開時は縦向きで使うことを想定している機種という点が、何とも分類しにくい新ジャンルのスマホだといえる。
縦持ちで使用すると電源ボタンが上側になる。かつてのiPhone 5などと同じ位置だが、持ち方によっては使いにくいと感じた。画面ロックは指紋認証と顔認証が併用できるので、指紋と合わせて顔認証を利用すると便利だ。
このサイズ感のスマホは「ありそうでなかった」大きさであり、どちらかといえば、かつての16:9比率のファブレット機に近い感覚だ。最も感覚的に近い機種として、ベゼル(画面淵)をそぎ落とした「Xperia Z Ultra」(横幅92mm)が最も近い。
実際に使ってみると、SNSやWeb閲覧だけでなく、漫画をはじめとした電子書籍の閲覧にも向いていると感じた。eBookモードという目に優しく、電子書籍の閲覧に適した描画モードも搭載している。
映像視聴では上下の黒帯が少なく、映画のようなワイド感を得られる点も印象的だった。開くとタブレットのような大画面になる「Galaxy Z Fold7」といった機種でも、動画視聴時の有効範囲は意外と狭い。Pura Xでは画面を余すことなく動画視聴に充てることができ、サイズ感以上の迫力で楽しめた。
また、画面分割時も横方向に余裕があり、動画を視聴しながらのブラウジングやメモ取りが便利だった。マルチタスクは画面の広さからフリップ型の機種よりも柔軟性が高く、特に横画面でのシチュエーションで満足に利用できた。
外側には3.5型、画面比率1:1の正方形サブディスプレイを採用。通知の確認などに加え、音声アシスタントやブラウザなどの一部アプリも利用できる。閉じたままでも主要な操作をこなせる点は、日常使いの快適さにつながっている。
Huaweiは、同社が開発したAIアシスタント「Celia」を閉じたまま起動し、各種タスクの処理、スマートデバイスや自動車の制御ができることをアピールしている。
ヒンジには「玄武水滴ヒンジ」と呼ばれるHuawei独自の構造を採用しており、折り目のへこみを最小限に抑えつつ、厚みも削減した。防水性能はIPX8と高く、折りたたみ機構を持ちながら実用性も確保している。
Pura Xが採用するプロセッサは、HiSilicon製の「Kirin 9020」だと判明している。Pura 80 Ultraなどにも採用されているチップセットであり、Web閲覧やSNS、写真編集など日常用途には十分な性能を持つ。メモリは12GB(上位のコレクターズエディションは16GB)とこちらも必要十分。HarmonyOS 5による最適化も進んでおり、操作レスポンスは軽快だ。
バッテリー容量は4720mAhを備え、折りたたみスマホながら、一般的なフリップ型スマホをしのぐ容量を確保している。独自プロセッサと自社製OSの高度な電源管理によって、一般的な使用なら1日は余裕で利用できた。
急速充電は最大66Wで、対応充電器を使うと約45分で満充電できる。さらに40Wのワイヤレス充電にも対応しており、利便性は高い。
本機はHuawei初の「HarmonyOS 5」(いわゆるHarmonyOS NEXT)をプリインストールしていることでも話題を呼んだ。このOSはAndroid互換を排除し、独自のプラットフォームとなり、Androidよりもメモリ使用量を抑え省電力性などに優れるとアピールしている。アプリはHuaweiが展開するストア「AppGallery」経由で提供されるが、Androidアプリの直接インストールには非対応となった。
そんなHarmonyOS 5は正式版のリリースから1年が経過し、中国向けのアプリ環境は整えられつつある。記事執筆時点で主要なSNSやブラウザ、銀行や交通系アプリ、動画配信などのエンタメアプリはほぼ対応した。2025年9月には日本でも人気の「原神」がHarmonyOS向けに正式対応するなど、課題だったゲームへの対応も着々と進められている。
また、10月22日に発表された最新バージョン「HarmonyOS 6」より、システム言語に日本語が加わったことで、従来よりも日本語環境でも使用しやすくなった。本体システムのかなり深い階層やHuaweiの純正アプリは日本語化されており、誤翻訳も少ない印象だ。
一方、中国以外で使用することを目的としてAndroidアプリを動かせる仕組みも用意されている。Google検索などのアプリは動作するものの、全てのアプリが正常に動作しないこともあり、日本で使うにはまだまだハードルが高いことは否めない。
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