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» 2007年11月08日 16時53分 UPDATE

ソフトウェアライセンスを一本化するGoogleのAndroid

Googleのモバイルアプリケーションプラットフォームは、アプリケーション開発に伴う煩雑な手続きを不要にする可能性がある

[Carol Pinchefsky,eWEEK]
eWEEK

 以前からしきりに噂されていた通り、Googleは携帯電話市場に参入した。だがGoogleがリリースするのは携帯端末そのものではなく、オープンなプラットフォーム、すなわちハードウェアメーカーおよびソフトウェアデベロッパー向けの包括的なソフトウェア開発キットである。

 アナリストらによると、これにより、顧客には低価格の携帯電話が、デベロッパーは大きなビジネスチャンスが提供される可能性が高いという。

 Googleの新しいオープンな携帯端末プラットフォーム「Android」は、業界初のオープンな携帯電話用OSではない。「Qtopia」(Trolltechが開発)および「OpenMoko」に次いで3番目となるものだ。しかしGoogleの構想は、ライセンスという面倒な問題を初めて解消するものとなりそうだ。Googleのワイヤレス戦略責任者、リッチ・マイナー氏は米eWEEKの取材で、「Androidは包括的な携帯電話開発スタックだ。ほかの企業からさまざまな技術をライセンスする必要はない。完全な携帯端末を提供するのに必要なものはすべて含まれている」と語っている。

 「Androidは技術オタクのオープンソースプロジェクトのようなものではない。33社の企業がプラットフォームの開発や、携帯端末の開発あるいは販売という形で参加する取り組みなのだ」とマイナー氏は説明する。

 皮肉なことに、Googleのオープンソリューションは一部のオープンソースグループの反感を招くかもしれない。組み込み型ハードウェアメーカー各社が自社のハードウェアの仕様を公開するプレッシャーから開放されるからだ。

 しかしGoogleは煩雑な法的手続きを解消することにより、ソフトウェアメーカー各社が携帯電話OS用のソフトウェアを提供するのを妨げてきた障壁を低くした。同時に、ハードウェアメーカー各社が新しい携帯電話を市場に投入するコストも低くなる。

 今のところ、携帯電話用のソフトウェアの多くはサードパーティーからライセンスする必要がある。「携帯電話にWebブラウザとしてOperaを搭載するのであれば、ライセンスを受ける必要がある。Midiの着信音を再生するには、Midiシーケンサーをどこかから調達しなければならないが、これも一般的にはライセンスを受ける必要がある」とマイナー氏は話す。

 この問題は特に、Wi-Fi、3Gデータ通信、GPSといった機能に当てはまる。これらはいずれも各メーカーが提供するハードウェアを必要とし、メーカー各社は一般に、自社がライセンスする独自のドライバと一緒に使用することしか認めていない。

 SymbianやWindows Mobileなどのスマートフォン用OSのライセンスに加え、Webブラウザや各種のサードパーティーアプリケーションのライセンスを合わせると、膨大で煩雑な法的手続きが必要となる。これは、携帯電話の改良あるいは新たな携帯電話の開発を目指す小規模企業や多数のオープンソースデベロッパーにとっては障害だ。

 ライセンスは高い費用がかかるのに加え、取得するのが難しいため、オープンソースプロジェクトにとって障害となっている。「この問題に取り組んだ他社の構想は実験の域を出なかったし、製品化にもつながらなかった」とマイナー氏は話す。

 オープンソースライセンスには幾つかの種類があり、最もよく知られているのがFree Software Foundationsの「GNU GPL(General Public License)」だ。ほとんどのLinuxソフトウェアに加え、LinuxカーネルそのものもGPLの下でライセンスされている。このほかにも、GPLから派生したLGPL(Lesser GPL)などがある。LGPLはライブラリ用で、商用利用に対する制約が緩やかである。

 ほとんど制約を課していないBSD(Berkeley Software Distribution)を採用しているソフトウェアもある。

 携帯端末向けのオープンソースソリューションを開発している業界団体のLiMo Foundationは、オープンソースのライセンス方式と商用ライセンス方式を融合した「FPL」(Foundation Public License)を作成した。

 LiMo Foundationの執行ディレクターを務めるモーガン・ギリス氏は、「初期のオープンソースライセンスは、組み込み型ソフトウェアシステム内でオープンソースのIP(知的財産)と組み合わせて使用されるプロプライエタリなIPに対して必要な保護を提供しなかった。最近のオープンソースライセンスは、この問題に対処するように作られており、モバイル業界あるいはそのほかの業界の商用ベンダーは、安心してオープンソース技術と自社の独自技術を組み合わせて使用できる」と話す。

 Androidの場合、GoogleはApache 2用に修正されたライセンスを選択した。

 「このライセンスは、知的財産に対して寛容なアプローチを採用している。知的財産を極めて自由に再配布することができるが、組み込みシステム内でオープンソースをプロプライエタリなIPと組み合わせる場合にプロプライエタリなIPを保護するのに十分な対策が盛り込まれている」とギリス氏は語る。

 OpenMokoではオープンソースの携帯電話を開発中であり、年内にリリースする予定だ。同社のマーケティング担当副社長、スティーブン・モーシャー氏は、「ライセンスをめぐる問題にいつも悩まされている」と話す。同氏によると、企業はライセンスをなかなか公開しようとしないという。自分たちの「秘伝のソース」が自社製品の差別化につながるからである。「それに、企業は自社の『基本IP』をコントロールできなくなるのをいやがるものだ」。

 オープンソースの支持者たちは、こういった懸念は現実に裏付けられたものではないとして、企業各社にハードウェア仕様を公開するよう盛んに呼びかけている。しかし携帯端末ハードウェア分野の企業は今のところ、この呼びかけになかなか応じようとしない。

 OpenMokoの携帯電話「Neo1973」は、仕様が完全に公開されたハードウェアだけを採用しているため、OpenMokoのプラットフォーム用のソフトウェアを作成しているデベロッパーは商用ライセンスを必要としない。また、ハードウェア仕様にもアクセスできるので、より優れたドライバを開発することも可能だ。この点では、Googleが提供するプラットフォームよりも優れているかもしれない。しかしAndroidでは、携帯電話メーカー各社がより広範なハードウェアを自社製品に組み込むことができる。

 Googleは業界に揺さぶりをかける考えだ。少なくとも、同社の動きが大きな注目を集めたことは確かだ。

 Androidをベースとした最初の携帯電話は、2008年半ばには登場する見込みだ。

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