ITmedia 2008年のIT業界をどのように予想されますか。
木村 今のIT業界は不安感に覆われ、夢を描けなくなってしまっているように思います。ITとは、次から次へと現れる課題に対処しなければならない“自転車操業”ではなく、使えば使うほど良くなっていくものでなくてはなりません。
特に企業にとっては、ITはビジネスインフラであり、攻めの経営の起点となるものです。グローバル化の波がますます加速すれば、ITシステムは高いROIを実現するものとなることが求められ、ITシステム全体を効率的に管理する仕組みが必要になります。
ITmedia SaaSのように自社でITインフラを抱えないようにする動きも注目されます。
木村 日米を問わず、中堅・中小企業では、こうした動きが加速するでしょう。われわれもオンラインサービスに対するソリューションの展開をパートナーとともに積極的に行っていく計画です。外部のインフラで利用するものと自社で保有すべきものをしっかりと管理したいというニーズが高まっていくと思います。
ITmedia エンドユーザーの環境も多様化していくようですね。
木村 スマートフォンのようなモバイルデバイスの利用が広がりつつあるように、エンドポイントのセキュリティは、従来のようにPCだけを保護するだけでは難しく、包括的に行っていかなければなりません。アンチウイルスやパーソナルファイアウォールに加えて、ネットワークアクセス管理のように、いかなる接続環境においても安全性を確保する包括的な対策が求めらるでしょう。
2007年は、持ち出しPCなどからの情報漏えい事件も注目されました。クライアント環境における情報保護の強化がさらに求められると思います。
ITmedia 2008年の抱負をお聞かせください。
木村 2008年は、社会にまん延している「ITは窮屈なもの」という雰囲気を解消したいですね。ITは安心・安全なものであることを示していきたいと思います。10年先、15年先のITの未来を描けるようにするのが目標です。
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