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» 2008年01月25日 17時09分 UPDATE

HP、2008年はシンクライアントの年と宣言

Neowareを2億1400万ドルで買収したHPが、同社初のシンクライアントPC製品およびソフトウェアパッケージをリリースしようとしている。HPは、シンクライアントこそがPC市場の最前線と考えているようだ。

[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 世界のPCベンダーのトップを走っている米Hewlett-Packard(HP)は1月24日、Microsoft WindowsまたはDebian GNU/Linuxに対応した新しいラップトップモデル1機種と、スタンダードなシンクライアント2機種の合計3製品を発表した。

 2007年にNeowareを2億1400万ドルで取得して以来、HPがシンクライアント分野に投入する新たなハードウェアとしては、これら3機種の新型シンクライアントが初めての製品となる。Neowareは、広範なハードウェアやソフトウェアを顧客に提供している、有力シンクライアントコンピュータメーカーだ。今回の新製品リリースからは、企業顧客に対する新たな形態のコンピューティング提供に、HPが投資する意欲を持っていることがうかがえる。

 Neowareの前最高経営責任者(CEO)で、現在はHPのシンクライアントソリューション部門副社長を務めるクラウス・ベジア氏は、「デスクトップ環境ではさまざまな変化が起こっている。デスクトップは複雑なインフラストラクチャで、フル機能装備のPCがあふれている昨今、すべてのユーザーがどうしても必要とするものではない。企業では今後、デスクトップインフラを簡素化したいと考えるIT部門や経営者がますます増えるだろう」と、eWEEKに語った。

 可動部品を持たず、ネットワークを介してデータセンターの集中型サーバに接続される形を基本とするシンクライアントPCの市場は、一般的なデスクトップおよびノートブックの市場と比べてまだはるかに小さいが、今後数年間は年率約20%で成長を続けていくと、IDCは予測している。HPは、2008年におよそ100万台のシンクライアントをリリースする計画を立てている(ちなみに、同社が2007年に世界へ出荷したPCの総数は5000万台である)。

 HPはシンクライアント製品のラインアップを増強していく中で、セキュリティやROIの向上、ライフサイクルの長期化、管理の簡素化、電気使用料の削減といった、シンクライアントが企業にもたらす種々のメリットを的確にアピールすることも忘れていない。例えば、HPのデスクトップの中で最もエネルギー効率のよい製品は、約80ワットの電力を消費するが、同社のシンクライアントの消費電力はわずか16ワット程度で、騒音も少ないという。

 シンクライアントそのものを提供するだけでなく、こうしたコンピューティング形態に対応した一連のPCブレードおよびサーバなどの集約型コンピューティングモデル構築に関しても、HPは顧客をサポートする取り組みを展開している。HPがNeowareを買収したのも、同社の優れた管理ツールやグラフィック機能、Citrixをインストールしたサーバからアプリケーションをストリーミングする機能を手に入れることが1つの大きな目的だった。HPが1月24日に行った発表はハードウェアの改良に焦点が当てられていたが、同社は今年に入り始動させた集約型コンピューティングソリューションに、より多くのNeowareソフトウェアを統合していくプランも温めている。

 Gartnerのアナリスト、マーク・マージビシャス氏は、「Neowareには極めて質の高い管理製品があり、シンクライアントの効率的な利用を実現する、優れたイメージングソフトウェアも擁している。また、膨大な顧客ベースを持ち、その大部分が米国外に広がっているため、HPはこれを生かして新興市場に足がかりを築くことができる」と指摘した。

 エンド・ツー・エンドの集約型コンピューティングソリューションを提供している大手ベンダーは、HPのほかにも存在する。2007年にはDellが、自社の「PowerEdge」サーバと、HDDを取り外した旧来のデスクトップ、さらにはCitrixのバックエンドストリーミングおよび仮想化技術を組み合わせ、独自のソリューションを発表した。

 集約型モデルという概念の登場によって、これまでコールセンターもしくは派遣社員用のニッチ製品と考えられてきたシンクライアントは、主要大手企業や、医療ケア業界および教育業界といった垂直市場にも浸透していくだろう。

 もっともアナリストらは、ソフトウェアとハードウェアの適切な組み合わせを見つける難しさもさりながら、伝統的なデスクトップやノートブックにいまだに信頼を寄せる労働者の思考を変えることが、この手のコンピューティングモデルを発展させていくうえでの大きな障害になると話している。

 HPのシンクライアント事業部門ディレクターであるタッド・ボードマン氏も、同コンピューティングモデルを普及させるには、まだいくつか問題が残っていると認めた。それでも同氏は、古いPCを少しずつシンクライアントに置き換えようと考えている企業は少なからずあると、自信ものぞかせた。

 また、Webベースのアプリケーションを使い慣れており、物理的なハードウェアの有無にはあまりこだわらない若い世代は、シンクライアントをエンドデバイスとして用いる集約型モデルにも順応できるはずだと、ボードマン氏は主張している。

 「新卒世代の若者たちは、オンライン上で育ったようなものだ。PC環境を逐次アップデートしていく段階をITが踏み越えた今、大学を出たばかりの若い彼らが(Microsoftの)『Outlook』は使いたくないと思うのも不思議ではない。気軽にアクセスしてWebベースアプリケーションを立ち上げ、効率的にやるべきことをやるというのが、彼らの理想のスタイルだ。まさに文化的な移行が起こっているのである。これからは、PCがオンラインエクスペリエンス化する傾向がいっそう強まるだろう」(ボードマン氏)

 HPが発表したシンクライアント新製品の1つ目は、Intel製「Celeron M」プロセッサを搭載したラップトップ「Compaq 6720t」だ。クロックスピードが1.06GHz、ディスプレイが15.4インチで、フラッシュメモリドライブ(Solid State Drive:SSD)を実装している。802.11 a/b/g WLAN(Wireless LAN)技術および3Gブロードバンド無線もサポートしている。

 6720tの価格は725ドルからで、1月末から販売が始まる。

 2種のデスクトップは、Windows XPe(embedded)対応の「Compaq t5730」と、Debian Linux対応の「Compaq t5735」。いずれのシンクライアントもAMDのプロセッサを利用し、USB 2.0ポートを複数備えている。両製品ともすでに発売されており、Linuxベースモデルは450ドルからとなっている。

 t5730には、統合WLAN機能も搭載されている。HPは両製品に「OpenView Client Configuration Manager」ソフトウェアを同梱しており、同社の完全な集約型コンピューティングソリューションに、なるべく多くのNeoware製イメージング/ストリーミングソフトウェアを組み込むべく、今も作業に取り組んでいるという。

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