悪戦苦闘の開発プロジェクト体験研修――日本オラクル新人社員の声を聞け(1/4 ページ)

企業買収に対し常に積極的な姿勢を示すオラクルは、買収もビジネス戦略の1手段として、ここ数年でさらなる成長路線に踏み出している。新人は入社後すぐに、そうした企業マインドを徹底的に叩き込まれる。

» 2008年03月05日 00時00分 公開
[伏見学,ITmedia]

 マイクロソフト日本IBMミクシィに続き4回目となる今回は、日本オラクルの方々に協力してもらった。約50人の2007年新卒社員の中から、井上惇さん、岩本知博さん、影山香織さん、川本泰久さん、田中真介さん、丁亜楠さん(以下、敬称略)の6名が参加した。入社して間もないうちに、認定資格「ORACLE MASTER」の取得や、開発プロジェクトを疑似体験する彼らは、既に多くを経験し、大人びた振る舞いをみせていた。

座談会に参加した日本オラクルの皆さん 座談会に参加した日本オラクルの皆さん

――まずは自己紹介をお願いします

 セールスコンサルティング統括本部のテクノロジープロダクトSC本部に所属しています。部署名は長いですが、簡単に言うと、営業と一緒に動いて技術的な提案をするチームです。

 大学時代は中国で日本語を専攻していました。大学院は日本の学校に進学し、電子政府やナレッジマネジメントなどの勉強をしていました。

田中 アプリケーションコンサルティング本部のCRMコンサルティング部に所属しています。基本的にはお客様のオフィスに常駐して、システムの導入を行う部署です。現在は、顧客情報を統合するプロジェクトに参加していて、要件定義から実際の導入まで幅広くかかわっています。

 学生時代は米国に留学していて、数学を専攻していました。副専攻でビジネスやコンピュータサイエンスを勉強していました。

川本 テクノロジーコンサルティング本部のアーキテクチャコンサルティング部に所属しています。仕事内容は、オラクルのデータベース(DB)に関するトラブル対応やパフォーマンスのチューニング、システム移行前のテストなどを行っています。

 学生時代は、米国でコンピュータサイエンスを専攻し、プログラミングを使って勉強していました。

岩本 テクノロジーレディネスSC本部のGrid Centerに所属しています。グリッドをベースとした次世代のビジネスソリューション構築を目的にした「Oracle GRID Center」というセンターがありまして、そこでオラクルの技術者とパートナー企業の技術者とともに検証作業を行っています。わたしはエンジニアとして、ソリューションの開発をしています。

 大学は、コンピュータサイエンスを専門とした大学に通い、プログラミングやITの概念的な基礎を学びました。

影山 Oracle Directのテクニカルサービス部に所属しています。職種はエンジニアで、営業と協力して提案活動をしています。担当は主にDB関連の基盤系製品になります。

 学生時代は、脳の研究に携わっていました、神経細胞の活動を解析したり、ニューラルネットの研究をしたりしていました。驚かれるかもしれませんが、人体解剖もしていました。

井上 影山と同じテクニカルサービス部に所属しています。エンジニアとして営業と提案活動を行います。担当製品をどう効率化して販売していくかについて考えています。担当製品はビジネスインテリジェンス(BI)です。

 大学時代は、統計学と会計を勉強していました。

2カ月で開発成果を求められる

――新人研修はどういったものでしたか?

井上 営業職と技術職に分かれています。最初の2カ月間は、基礎的な技術やビジネスマナー、プレゼン技法、ファシリテーションなどが中心でした。その後、営業は各部門に配属されます。技術はさらに2カ月、擬似プロジェクトという実習をしました。社内のあるサイトをリニューアルするという課題が与えられ、わたしたちが開発会社となり、実際に社内の一部署をクライアントと見立てて、要件定義やシステム設計を行いました。最終的にはシステムを作り上げて、それを発表して評価をもらいました。このプロジェクトで一連の工程を経験しました。

――わずか2カ月間で開発したのですか?

井上 8人1チームで取り組みましたが、ものすごく大変でした。あらゆることまですべて管理しなくてはならないわけです。用件定義から始めて、方向性やどういう機能を実装するかなどクライアントと打ち合わせを重ねて内容を詰めていきます。開発期間が2カ月しかない中で、開発が遅れたりバグが大量に出てきたり。納期に間に合わせるのが大変でした。

田中 わたしはプロジェクトマネジャーを務めました。スケジュールを管理するのが大変でした。各人とも自分のタスクしか見えてないことが多いので、全体でどのくらい遅れているのかを把握するのに苦労しました。

井上 最後の1週間はすごいことになっていましたね。

 デバック、デバックで。直すと次のエラーが出て……。

井上 まさに開発のリアルな経験ができました。

影山 わたしたちは5〜6人1チームでプロジェクトを組みました。

岩本 同じように、あるシステムのリニューアルということで、各チームでシステムを構築しました。最後に、ほかのチームとコンペで争い、クライアントが順位を付けていきました。

影山 コンペは面白かったよね。

岩本 そうですね。わたしたちは同じチームだったのですが、システム力ではなく、プレゼンのうまさで勝とうという戦略を立てて挑みました。

影山 もちろんプレゼンと開発を合わせて評価されるのですが、わたしたちはプレゼンに注力しました。ほかのチームはシステムに力を入れていました。優れたシステムを開発してもプレゼンがうまくないと伝わらないし、プレゼンだけうまくても「あれ、あまりきちんとシステムが作られてないな」と見破られます。2つのバランスが各チーム特有で面白かったです。

井上 入社後すぐにORACLE MASTERを各自勉強して取得しなさいという指示がありました。そこで一気に実力をつけて、そこから研修に入るというスタンスでした。

田中 学生時代と比べて一番大変だったのは、「マルチタスク」の重要性を感じたことです。研修でもよく言われていました。ORACLE MASTERにかんしては、勝手に勉強してという感じなので、プレゼン、マナー、技術的な研修をやりつつ、それとは別に自分でスキルアップの勉強をしなければなりませんでした。いろいろなことが同時に進んでいくので、その大変さと自己管理の大切さを痛感しました。

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