自分の扱いが粗末なのが原因でトラブルになっているのに、皆がわたしにクレームやら八つ当たりやらをぶつけてくる。IT機器もわたしも大切にして!
「悲しき女子ヘルプデスク物語」(再編集版)が電子書籍になりました。主要電子書店で発売中です。
「えー!! 無いっ!!!」
ある朝、会社に着くなり小さな悲鳴(?)をあげてしまった。鞄をひっくり返してもやっぱり無い。落とした?? どこで??
イヤな汗が出てくる。探し物は携帯電話だ。無い、と分かった途端、不安な気持ちが私を襲う。最後に携帯電話を持ったのはいつだったか? 必死になって記憶をさかのぼる。寝るときに机に置いて、そのままだ!
昨夜は飲み会で、遅めの帰宅だった。酔っていたからと遅かったからとで、帰宅後に携帯電話を机の上に放り出したまま寝てしまったらしい。ついうっかり忘れたのは、いつものところ(充電器)に無かったからか? 念のために自宅に電話をかけてみると、やはり机の上に携帯電話が置いたままになっているとのこと。落としたのでなくて、ひと安心。
ところがその日1日、どうも落ち着かない。携帯電話を仕事中に利用するわけではないのにそわそわしている。手元にないことがこんなにも不安な気持ちにさせる。すっかり私もケータイ中毒だ。
不安な気持ちになるのは、友人からのメールや電話、天気予報やニュースなどの情報という「ネットワーク」から自分だけが外れている気になるからだろうか。
さて、そんな落ち着かない日のお昼。久しぶりに同期入社のA子とご飯を食べるために彼女の部署に顔を出した。
A子に声をかけようとしたそのとき、A子の背中から何か、もわ〜っとしたものを感じる。例えれば、黒い湯気が出ているよう。
霊媒師じゃないけれど、長い間システム管理の仕事をしているとトラブルに見舞われている人の背中を流れる「見えない汗」や「黒い湯気」が見えるようになる。仕事以外でこの手の汗や湯気が見えた時は、できるだけ関わらないように、とブラックな態度をとってしまうこともある。「ワタシパソコンワカリマセン」なんて(ごめんなさい!)。
しかし今は業務時間内で、ここはオフィスの中である。いくらお昼休みに入ったとはいえ見過ごすわけにはいかない。
私 「どぉしたの?」
できる限り明るい声を作って呼びかけたら、A子が振り向いた。そして、私の顔を見るなりA子が安堵した顔に変わる。
A子 「あぁぁぁぁ!! よかったー。今電話しようと思ってたところだったのよ。」
私 「やっぱりね……(ランチはお預けか?)」
A子 「ネットがつながらなくなっちゃったの。」
私 「いつから?」
A子 「朝はつながっていたの。メールチェックもできたしネットもできたわ。さっき、トイレに行って戻って来たら、もうつながらなくなっていたの。」
周囲の接続状況を確認すべくA子の隣の席にあるPC画面を見ると、日本最大のSNSサイトの画面が表示されている(仕事しろよ)。ということは、ネットワーク機器ではなく、A子のPCに障害が発生したのかしら。
ちょっと確認するねー、とPCの画面を見ようと近づいた。すると気を利かせたのかA子が椅子から立ち上がった。その瞬間、信じられない光景が目に飛び込んできた。
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