瞬時に起動するLinux環境SplashtopLinux Hacks(1/3 ページ)

わずか9秒で起動するSplashtop。瞬時に起動するシステムはあなたの予想以上にこれまでの環境を変え得る力を秘めている。

» 2008年03月13日 00時00分 公開
[Nathan-Willis,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 昨年、サンノゼを拠点とする新興企業DeviceVMによって発表され、波紋を呼んだのがSplashtopだ。ほとんど瞬時に起動するこのLinux環境は、通常はマザーボードのBIOSのために用意されたフラッシュメモリに収められている。同社が2008年1月のConsumer Electronics ShowでSplashtopの次期更新版を披露した際、われわれはこの興味深いシステムソフトウェアを実地に検分できる機会を約束してもらっていた。

 Splashtopは完全なコンピューティング環境をユーザーに提供しようとするものではない。DeviceVMでは、朝起きて急ぎのメールのチェックを何分もかけずに数秒で済ませる、といった利用シーンを前面に出して宣伝を行っている。また、翌朝すぐにネットワークにつなげられるように夜中もPCの電源をつけっぱなしにしている人には、Splashtopなら同じくらい素早くネットに接続できて夜中に電気代が掛かることもない、と提言している。

 Splashtopが最初に搭載されたのはASUSのP5E3マザーボードで、このときのクライアントアプリケーションはWebブラウザとSkypeだけだった。その後、ASUSはM3N-H、M3N-HDの各マザーボードをSplashtop対応の製品ラインアップに加えた。これらの新しいハードウェア製品に搭載されたSplashtopには、マイナーアップデートと調整が施された。そして、DeviceVMが準備を進めているメジャーアップデート版には、現行のマザーボードに搭載されたバージョンよりもずっと多くのアプリケーションが追加される。

9秒で起動

 このSplashtopの次期バージョンをレビューするために、われわれはASUS製F8SaノートPCを借り受けた。Intel Core 2 Duoプロセッサ、2GバイトのRAM、802.11a/g/n無線および有線Eithernet、回転式の1.3メガピクセルWebカメラ、14.1インチの液晶画面、160GバイトのHDDを備えている。とはいえ、お分かりのようにSplashtopはHDDを必要としない。

 Splashtopには、専用のホットキー(この機種ではト音記号が描かれているが、おそらく暫定的なものだろう)が用意されている。一方、普通に電源ボタンを押すと、通常のブートシーケンスでシステムを起動できる。

 今回のバージョンのSplashtopには、これまでのリリースになかった相当な数のアプリケーションが収録されている。WebとSkype以外に、チャットプログラム、写真ビューア、楽曲プレーヤ、動画プレーヤ、スタンドアロンのDVDプレーヤが追加されている。また、視覚テーマや電源管理プロファイルなど、Splashtopを設定するユーティリティ群も存在する。

 宣伝文句のとおりに、Splashtopは数秒で起動する。計ってみると、コールドブートでメイン画面が表示されるまで9秒強だった。これに対し、同じノートPCでプリインストール版のWindows Vistaが起動させると2分以上かかる。Splashtopのメインメニューは9秒で表示されるが、個別のアプリケーションが立ち上がるまでには、ネットワーク接続の待ち時間を入れて後4、5秒かかる。

 今回のSplashtopはWEPで保護された無線ネットワークに接続できるが、WPAには対応していない。この点について、DeviceVMでは近いうちに対応を考えているという。自宅の無線ネットワークではWPAを使用しているので、有線のイーサネットを使って接続することにした。電源を切った状態から起動すると、Webブラウザが新しいページを読み込む前に、決まって開始ページを最低1回はリロードしなければならないことに気づいた。ノートPCの動作に何か問題があったわけではなく、システムの起動とブラウザの起動がルータからDHCPでIPアドレスが割り当てられるよりも早かったせいだった。

 同じように、SplashtopのメディアプレーヤはPCのHDDに保存されているファイルにアクセスできるが、ドライブが回転を始めて指定したフォルダ内のファイルを見つけ出すまでに待ち時間が生じる。なお、F8SaにはSD(Secure Digital)カードスロットも付いており、SDカードからメディアを再生することもできる。

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