オープンソース化から1年を経たSecond LifeTrend Insight(2/4 ページ)

» 2008年03月26日 02時00分 公開
[Nathan-Willis,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

この1年のLinden

 Lindenのオープンソース開発ディレクターであるロブ・ランフィアー氏に、2007年の進展について感想を語ってもらった。「ここにいるわれわれ全員がそれぞれにさまざまなことを学んだ年だった。われわれの多くにとってオープン開発ははじめてだったので、この1年で得た多くのものはコミュニティー活動や社外の開発者との関係構築の基本的な部分に関係している。1つ明らかになった素晴らしい点は、市場をリードする立場からのオープンソースへの移行はことのほか効果的ということだ。企業によるオープンソース化のほとんどは、立場の弱さから止むを得ず、または巻き返しを図るために行われるため、企業側の関係者はコミュニティーを引き寄せるために必死に努力しなければならないことが多い。しかし、市場のトップの座にいれば、コミュニティーから半ば迎えられるような形でオープンソースの世界に入ることができる」

 「しかし、その部分に関してはもう1つ大きな教訓がある。それは、企業のオープンソースプロジェクトリーダの抱く期待と、そうしたプロジェクトに関心を持つコミュニティーの期待との間には大きなギャップが見られる、ということだ。本当に強固で機能的なコミュニティーを作り上げるには、お互いの間で相当な意見交換をする必要がある。より高度なコラボレーション(例えば、リアルタイムのバージョン管理、優れたビルドツールの作成やバグ処理など)を進めるには、やるべきことがたくさんあることが分かった。先ほどそれとなく言ったが、いまなおわれわれ社員の多くは、社外からの目にさらされながら仕事をすることについて学んでいる。少なくとも、可能なときには設計のフィードバックが得られるし、またそうする必要があることは学ぶことができた」(ランフィアー氏)

 Lindenのオープンソースビューアは、ほかの領域でも同社の役に立っている、とランフィアー氏は言う。「コミュニティーのおかげで、CMakeという素晴らしいテクノロジーへの移行を果たした。CMakeは、クロスプラットフォームのビルドツールで、何種類ものプラットフォーム用のmakefileを容易に管理できる。Lindenの以前の設定システムは機能が不十分で使いにくいという声が開発者のコミュニティーから上がり、コミュニティーのメンバー、カラム・ラーウィック氏の粘り強さに負けて、ランフィアー氏はCMakeソリューションを導入したのだった。

 またランフィアー氏は、SLビューアのソースコードが公開されたことでLindenの業務上の取引における“摩擦が軽減された”と話している。これにより、当初はプロプライエタリな製品だったWindlightのテストと統合にかかる期間は短縮された。また、コードが容易に参照できることから、商用のライセンシングに関心を持つサードパーティーの会社にもアプローチがしやすくなったという。

 SLビューア自体の開発について尋ねたところ、ランフィアー氏は満足気に次のように語った。「現在、代替ビューアの中で最も人気があるのは personal-bugfixビューアだが、それはすぐに使えるという点でずば抜けているからだ。ミシガン大学(University of Michigan)の立体視ビューアや、現段階では試験的なものでまだ広くは使われていない慶応義塾大学による脳トラッキングビューアなど、もっと進化した実験的なビューアもある」

 「われわれは恵まれた立場にあると思う。コミュニティーとわれわれ自身の生産性を向上させるためにやれることがほかにもたくさんある。仮にコードを公開していなかったら、開発者の数が増え、こうしたツールが開発されるまでにはかなりの時間が掛かっていただろう。しかし、完璧を求めていては良いものは生まれない。だからわれわれは待たなかった。長期的な視野に立てば、われわれが求めているのは数多くの代替ビューアではない。むしろ、拡張機能によって機能を向上できる柔軟性に富んだ汎用のビューアの方だ」(ランフィアー氏)

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