「デジタルネイティブ」が創出する新たな成長モデルコンテンツ産業(1/2 ページ)

世界第2位のメディアコンテンツ市場を抱える日本。専門家は2010年以降のコンテンツ消費は幼い時期からインターネットに慣れ親しんだ「デジタルネイティブ」が新たな担い手になると予測する。

» 2008年04月01日 16時00分 公開
[富永康信,ITmedia]

10代後半の3割が「TVなくても困らない」

 世界共通指標によるメディアコンテンツ市場(映画、テレビ、ラジオ、音楽、インターネットサービス、ビデオゲーム、ビジネス情報、雑誌、新聞、書籍を通じた市場規模。『出所:PwC Entertainment andMedia Market Outlook 2006-2010』)の1位は米国の3843億ドル、それに次ぐ830億ドルで日本が2位を保っている。欧州・中東・アフリカの合計が321 7億ドル、日本を除くアジア・オセアニア全体で1316億ドルであることを考えれば、日本はメディアコンテンツ大国といえるだろう。

 ところが、上記の指標において2006年から10年までの伸びを比較すると、米国は5.4%、欧州・中東・アフリカが6.3%、アジア・オセアニアでは9.7%の成長率が見込まれる一方で、日本はわずか2.7%にとどまると予測されている。

 また、「デジタルコンテンツ白書2007」(財団法人デジタルコンテンツ協会)によるとカラオケや携帯電話関連などを含めた06年の国内の市場規模は、約14兆円と算出されているが、これも前年比1.1%の微増でしかない。

 野村総合研究所(NRI)が07年9月に、日本の15〜79歳の男女1200人を対象に実施した「コンテンツ消費に関する調査」によると、メディアコンテンツへの接触は1年前に比べ、ネットの視聴、音楽ダウンロードは増えている半面、DVD/CDのレンタル・購入、書籍/雑誌の購入、映画館での鑑賞、ゲームソフトの購入、テレビの視聴、コンサートに行く回数などが減少、既存メディア離れが顕著になっているという。

 特にテレビの視聴は50歳代以下の世代で減少傾向にあり、テレビがなくなっても困らないと答える人の割合は、15〜19歳で33%、20〜29歳で24%に上るなど、若い世代ほどテレビへの依存度が希薄になっている。

 メディアコンテンツ業界がインターネットやデジタル技術へ対応した視聴スタイルへの変化と、娯楽の主体がコンテンツからコミュニケーションへ移りつつあることがうかがえる。

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