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» 2008年04月08日 08時00分 UPDATE

アナリストの視点:実は活況な大企業向けERP市場 (1/4)

矢野経済研究所の調査では、2007年のERPパッケージライセンス売上高市場は1178億円、前年比13.7%増となった。2008年以降の動向について考察する際、懸念点はやはり、2007年末から顕在化し始めた景気悪化である。

[小林明子(矢野経済研究所),ITmedia]

 ERPパッケージの導入が進んでいる。矢野経済研究所の調査では、2007年のERPパッケージライセンス売上高市場は1178億円、前年比13.7%増となった。2008年以降の動向について考察する際、懸念点はやはり、2007年末から顕在化し始めた景気悪化である。サブプライムローン問題に端を発したアメリカ経済の先行き不透明感、円高、原材料高などが景況感を押し下げている。

どうなる? 2008年〜2010年のERP市場動向

 企業の投資マインドが低下すれば当然ERP市場への影響は避けられない。矢野経済研究所では、成長スピードの鈍化は避けられないものの、それでも年5〜10%程度の成長を続け、2010年には1440億円に達すると予測する。

企業活動を支えるITツールであるERPの市場成長のポイントとしては、1.攻めから守りのIT投資へ需要構造が変化する 2.ERPパッケージ導入の裾野が広がり、業務、業種、企業規模が多様化するという2点が挙げられる。以下に、それぞれのポイントについて紹介する。

yano1.jpg ERPパッケージライセンス売上高推移(エンドユーザー渡し価格ベース)

「守り」のIT投資へ バックオフィス業務の見直し、内部統制も追い風に

 2008年度は間接業務管理の強化によるコストダウンやコンプライアンス強化など、経営基盤強化の機運が高まりそうだ。われわれが実施したユーザー調査では、2008年度のIT投資の目的を聞いたところ、「管理業務の効率化」がトップ、次いで「セキュリティ」だった。

 2007年は販売管理などフロント系モジュールの売り上げが伸びるなど事業拡大を目指した「攻め」の投資が目立ったが、2008年は会計などバックオフィス業務の見直しを志向する企業が増える見通しである。ERP市場においては、販売や生産といった業績拡大に向けた前向きの投資と、財務会計や人事給与など効率化や基盤構築を目的とした投資が3〜4年ごとに入れ替わるが、今後は間接業務管理強化の傾向が強まると予測する。

 内部統制も重要なキーワードだ。しかしながら、日本版SOX法(J-SOX法)にまつわる特需があるというわけではない。2006年ごろから、ベンダー各社はJ-SOX法への対応を目的としたERPの導入が進むとの期待を持っていたようだが、ビジネスとしては低調なまま2008年4月の適用開始を迎え、その点では「期待外れ」だったようだ。

 ユーザー企業の対応は遅れ、実際には「3点セット」と呼ばれる文書(業務フローチャート、業務記述書、リスクコントロールマトリックス)に代表される文書化作業が中心で、基幹システムへの投資には至らなかったのだ。

 ただし、J-SOX法及び内部統制への関心は高く、同時にERPに対する意識も高まっている。企業規模を問わず顧客や消費者からコンプライアンスの確立が一層厳しく求められる中で、基幹システムの更改やリプレースにおける「内部統制対応」は必須の要件となっている。そのため、標準化や管理ルールの徹底が行いやすいERPパッケージ導入が選択される機会が増えており、需要の底上げにつながっている。

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