「ドッグフード」もミッション、マイクロソフトIT部門の仕事とは?(1/2 ページ)

MicrosoftのIT部門は、自社のシステムを支えるだけでなく、製品のファーストユーザーという要職も務めている。

» 2008年04月18日 09時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
デュボア氏

 製品や技術、経営面など対外的な活動が注目されることの多いMicrosoft。だが、同社にもやはり社内のシステムを担当するIT部門が存在する。同社のIT部門が日々どのような活動に取り組んでいるのかを、インフォメーション テクノロジーグループ ゼネラルマネジャーのジム・デュボア氏に聞いた。

 デュボア氏は、トニー・スコットCIOが管轄するIT部門で社内向けアプリケーションやインフラサービスの管理をグローバルで担当している。1998〜99年には日本にも常駐し、アジア地区における自社向けアプリケーションの管理業務にも従事した経験があるという。

MSのIT環境

 現在、Microsoftで運用する機器は、PCやモバイルなどのデバイスが約60万台、サーバが約1万台。データセンターは世界3カ所に設置され、1カ所で集中管理をしているという。業務アプリケーションは約2300種類で、その多くを自社製品を占めるが、人事・給与などのシステムはSQL ServerにSAPのシステムを組み合わせて運用している。約14万人の全社員(契約社員なども含む)のうち、IT部門には約5000人が所属する。

 「われわれの製品は余分なスケーラビリティを必要としないので、コンパクトなのが特徴だ。ほかの企業のIT部門からもそのような評価をいただいている」(デュボア氏)

MicrosoftのIT環境(左)とIT予算の内訳

 2008年度は、収益全体の2.3%をIT投資に割り当てる同社。内訳は新規プログラム開発が52%、システムの維持・管理が48%。機能別ではアプリケーション分野が69%、ネットワークなどのインフラ分野が31%となっている。

 新規プログラム開発の比率は、3年前では40%未満だったが、近年は維持・管理コストの削減に取り組んだことで50%台に急増した。「過去4年間で約1億ドルの削減を実現し、その分を開発に振り向けることができた。できれば速やかに60%台へ引き上げたいと考えている」(同氏)

 これは、データセンター管理の一元化やプロセスの標準化・自動化、仮想化環境の整備によるものとデュボア氏は説明する。コスト削減においては、「厳密な予算とプロジェクト進捗の計画・管理を実践している」と同氏は話す。

 新規に開発するプログラムは、1カ月当たり約230種類。例えばSAPに関連するプログラムは四半期ごとにリリースしている。「大規模なものは作らず、なるべくコンパクトなものをスピーディーに作っている。この方がシステム環境の変化に柔軟に対処できるメリットがある」(デュボア氏)

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