弥生の新社長に経営コンサル出身の39歳 SaaS参入を表明

東大、野村総合研究所、MBA取得、ボストンコンサルティングを経て、独立起業とエリート街道を歩む39歳が社長に就任した。

» 2008年04月22日 16時07分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 弥生は4月22日、1日に就任した岡本浩一郎社長が新経営体制と事業戦略を紹介する記者発表会を都内で開催した。ボストンコンサルティングなどを経て社長に就いた岡本氏は、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)市場への参入を表明した。

「起業家を支援したい」と話す岡本氏(中央)と、五月女氏(左)、相馬氏

 入社について岡本氏は「独立して経営していたコンサルティング会社で昨年秋に、弥生の事業戦略についてコンサルティングサービスを提供していたことがきっかけ」と話す。副社長には五月女尚氏、常務取締役に相馬一徳氏が就任した。

 岡本氏は新戦略として「SaaSを事業の柱に育てる」と話す。対象はこれまでパッケージソフトを提供してきた顧客と重なる部分もあるが、より単純な機能を望んでいるユーザーを新たなターゲットにしたいという。

 「導入や運用が容易なSaaSは弥生のユーザーにとって利点が大きい。SaaSの欠点といわれる情報漏えいなどセキュリティの問題などは心理的な障壁であり、実際にはデータセンターの方が安全。ユーザーのデメリットにはならない」(同氏)

 具体的には、1年以内に既存のアプリケーションをSaaSに対応させ、2年以内に新規のSaaSアプリケーションを立ち上げる。3年目は本格展開の年とし、事業の主軸をSaaSに移すとしている。

 「技術面の強化のために他のIT企業との連携も検討しているところ」(同氏)。大手ソフトウェアベンダーがSaaSの取り組みを開始しており「そうしたところと協業していく」という。採用技術については「AJAXやAdobe AIR、MicrosoftのSilverlightなどいろいろある。何が標準になるか分からないので議論していきたい」と話した。

 岡本氏は1969年3月生まれの39歳。神奈川県横浜市出身。東京大学工学部を卒業後、野村総合研究所に入社し、証券システムの開発を手掛けた。カリフォルニア大学ロサンゼルス校経営大学院を経て、1998年にボストン コンサルティンググループに入社。証券取引所のIT戦略構築などを担当した。2000年に独立し、IT戦略に特化したサービスを提供していた。

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