崩壊するICTピラミッドNGNが引き起こす業界変革シナリオ(1/3 ページ)

NGNの価値を通信キャリアのコスト削減とするのでは面白くない。広義でとらえれば大きな可能性を秘めている。NGNによる変革のシナリオを考えてみたい。

» 2008年04月28日 14時18分 公開
[エリック 松永,ITmedia]

 前回の「NGNはICT革命のジャンヌダルクではない!」では、NGN実現の本質的な意義は、膨大な維持コストの掛かる古いタイプの通信機器から汎用的な通信機器に変更することであり、NTTなどの通信キャリアに斬新なサービスを闇雲に期待するのは間違いだと指摘した。

 しかし、NGNの価値を単に通信キャリアのコスト削減とするのでは面白くない。NGNは広義でとらえれば大きな可能性を秘めている。NGNの本質を理解したことを前提に、今回は広義にNGNをとらえ、変革のシナリオを考えてみたい。

ICT業界に存在するピラミッド

 ICT(情報通信技術)業界の構造を単純化すると「ICT3層ピラミッド」になる。ピラミッドは基本的に3つの層に分けられる。

  • 第1層 コンサルティング
  • 第2層 システム
  • 第3層 ネットワーク
ICT3層ピラミッド

 各層を隔てる3つの壁が存在し、それぞれが特徴を持っている。

  • 1.企業文化、働く人のキャラクターの壁

 ICTピラミッドの特徴は企業文化の違いが存在することだ。働く人のキャラクターも層ごとに異なる。企業文化や働く人のキャラクターは、他社との提携や統合を失敗に終わらせないためにも理解する必要がある。基本的に上にいけばいくほど、肉食系のアグレッシブな人種なので、下位からすると「安易に協力できると思うと痛い目にあう」傾向がある。

  • 2. 顧客のコンタクトポイント

 各層にとって、顧客とのコンタクトポイントは、コンサルティング、特に戦略系コンサルタントが経営層に近いところであるのに対し、層が下がるごとに現場に近いところへと移る。

  • 3. 人月単価

 人月単価はコンサルティング層に属する戦略系コンサルタントを頂点に、基本的には下位になるに従って安価になる構成になっている。これは単純に、ピラミッドの上位層は人そのものが商品なのに対し、下位層へいくほど商品・サービスの売り上げが多くなる内訳になっているためだ。ホストコンピュータの時代は担当SEが割り振られた時期もあるが、それはコンピュータ自体の価格が非常に高かったので可能だったモデルといえる。

ICTピラミッドの全体像と壁
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