ビル・ゲイツ氏が来日し、米Microsoftの今後について言及。米Yahoo!とは「独立した路線を進むべき」とし、買収の再提案を否定した。
米Microsoftのビル・ゲイツ会長は5月7日、都内で記者会見を開き、Microsoftの今後の戦略や米Yahoo!の買収提案に言及した。同氏は7月から会長兼相談役としてMicrosoftの戦略策定などを手掛けるが、経営の第一線からは退く。世界の健康と教育の課題に取り組むビル アンド メリンダ ゲイツ財団での活動に注力する考えだ。
ゲイツ氏は会見で、米Yahoo!の買収を断念したことに言及した。「Yahoo!と対話をするために努力をした。その結果、それぞれ独立した路線を進むべきとの結論に達した」という。スティーブ・バルマーCEOの声明にのっとり、買収の再提案は実施しないことを明らかにした。
今後Microsoftは存在感をどう示していくのか。ゲイツ氏は「野心的な取り組みを行っていく」と自信を見せる。その候補として、インターネットサービスとデスクトップアプリケーションを組み合わせる同社の戦略「ソフトウェア+サービス」を挙げた。
特にWebサービスでは米Googleとの比較を常に強いられる。ゲイツ氏は「Microsoftはソフトウェアの技術で競争したい」と述べ、検索をビジネスの核とするGoogleとの立ち位置に一線を引いた。今後はソフトウェアのリリースに注力していき、「Vista、Officeの成功を超える」と意気込む。
「Googleは検索では強いが、Microsoftは携帯電話やゲーム、タブレットコンピューティングなどさまざまな市場を持っている。競争するのは検索だけではない」(同氏)
日本市場では、Xboxやポータルサイト「MSN」が不振となっている。ゲイツ氏はコア製品を中心にてこ入れを図るなど、基本姿勢を崩さない構えだ。「OfficeやExchange、SQL Serverといった製品がどの国でも順調にシェアを伸ばしている」と述べ、これらの製品が市場をけん引してきたことを説明。「国ごとにシェアの高い製品、低い製品があるが、今後もブレイクスルーは生まれてくる」と期待を寄せる。
一方で「日本市場は独特。SaaS(サービスとしてのソフトウェア)で賭けにでるしかない」といった発言も出るなど、弱気な一面も見せた。
同会見では学生の開発者を支援する取り組みを始めると発表。Microsoftの統合開発環境「Visual Studio」やWebデザインスイート「Expression Studio」といった有償ツールを、学生が無償でダウンロードできるようにするという。
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