Yahoo!のモバイル資産は「過小評価された宝石」――MSの見方

Bear Stearnsによると、MicrosoftにとってYahoo!の最大の魅力は同社のモバイル資産だという。

» 2008年02月19日 16時02分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 MicrosoftにとってYahoo!の大きな魅力の1つが同社のモバイル資産であることは周知の事実だが、Yahoo!は財務報告書でこれらの資産やその生産性を公表していないため、それを数値化するのは難しい。

 Bear Stearnsの株式調査アナリストらの予測によると、Yahoo!は今後数年間でモバイル広告市場において最大5%のシェア(金額にして10億ドル)を確保する見通しだ。これは、同社のモバイル検索・コミュニケーション製品と、通信事業者および携帯端末メーカーとの緊密な協力関係との相乗効果によるものだ。

 この報告書は2月13日に発表された。Yahoo!はその2日前、Microsoftが最初に示した446億ドルの買収提案拒否した。Yahoo!の企業価値を低く見積もりすぎているというのが理由だ。MicrosoftではYahoo!の買収をあきらめないとしながらも、このところ沈黙を続けている。Microsoftはさらに高い金額を提示するのではないかというのがアナリストらの見方だ。

 Bear Stearnsの報告書によると、スマートフォンは全世界でインターネット利用の入り口として使われることが多くなっており、現在、モバイルユーザーの数はPCユーザーの2倍を超える。

 モバイル広告は、テキストメッセージによる販促、広告でサポートされた無料通話、ビデオコンテンツ/モバイルゲーム/モバイル音楽/モバイルTV/モバイル検索での広告掲載といった形でモバイルWebに組み込むことができる。

 多くの広告主およびインターネットサービスプロバイダーは、広告内容をユーザーの嗜好にマッチさせるためにターゲティング技術やトラッキング技術を採用している。これらのツールは、広告主がコンシューマーに衝動買いを促すのに役立つ。

 また、Facebook、MySpace、Twitterといったソーシャルネットワークがモバイルデバイスで普及してきたことで、Google、Microsoft、Yahoo!などのインターネットサービスベンダー、ならびに広告主にとっては、コンシューマーのプロフィールデータに基づいて広告ターゲットを絞るという新たなチャンスが生まれる可能性がある。

 eMarketerによると、Web対応の携帯電話上でユーザーが容易に検索を行える機能に加え、ユーザーの前に広告を提示することを可能にする機能は、向こう5年間で160億ドルの広告収入を生み出す可能性があるという。

 「Microsoftはモバイル分野におけるYahoo!の成長、そしてWebの発展の方向性に注目し、Yahoo!のポートフォリオには過小評価された宝石が含まれていると考えているようだ」とBear Stearnsのアナリストらは報告書に記している。

 Yahoo!ではモバイルプラットフォームの「Go 3.0」およびモバイル検索エンジンの「oneSearch」を提供しており、2月13日にはソーシャルネットワークのアドレス帳を電子メール/インスタントメッセージング/テキストメッセージング機能に連携する「oneConnect」サービスの提供を開始した。

 さらに同社は、29社の通信事業者および数社の携帯端末と提携しており、oneSearch、電子メール、インスタントメッセージングなどのYahoo!サービスが各社の携帯端末に組み込まれている。

 Yahoo!は最近、T-Mobileとも提携を結び、T-Mobileが欧州で提供する携帯電話のモバイル検索プロバイダーとなった。これらの提携を通じたYahoo!のモバイルサービスの利用者は世界40カ国以上の国々で6億人を超える。

 Bear Stearnsによると、これらの資産を全部合わせると、Yahoo!はGoogleやMicrosoftよりもモバイル分野に深く浸透しているという。Googleは自社の「Android」OSによってこの差を縮められるかもしれない。

 しかし、最初のAndroidベースの携帯電話が登場するのは数カ月先になる見込みであり、新しいOSプラットフォームが普及するには時間がかかる。Yahoo!はこの時間を利用して、モバイル市場での自社の地位を強化することができる。

 Microsoftの登場により、Yahoo!がモバイル分野での可能性を独力で追求するのか、巨大ソフトウェアメーカーの子会社として追求するのか不透明な状況になってきた。Googleでは両方のシナリオに備えている。

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