電子メールやグループウェア連携が特徴のBlackBerryは次にどのような進化を遂げるのか? Research In Motionのデビット・ヤッチCTOに展望を聞いた。
ビジネス向けスマートフォンの「BlackBerry」は、企業の電子メールやグループウェア情報の利用に注力しながら、数多くのユーザーを獲得してきた。今後さらなるユーザー層の拡大に向けてどのような進化を目指すのか。Research In MotionでChief Technical Officerを務めるデビット・ヤッチ氏に聞いた。
ITmedia スマートフォンには、iPhoneやWindows Mobileなどさまざまなプレーヤーが存在しますが、これらとBlackBerryの違いは何でしょうか。
ヤッチ氏 一番の特徴は、BlackBerryはJavaベースのプラットフォームであるという点です。世界的に普及しているJavaを利用できるので、アプリケーションを容易に開発でき、グローバルに展開しやすいというメリットがあります。今回のカンファレンスに出展する企業もJavaを利用してさまざまなアプリケーションを展開しています。
ITmedia ビジネス向けという点では、具体的にどのような開発方針で臨んでいますか。
ヤッチ氏 まずは電子メールをいかにしてモバイル端末に配信するのかという点からスタートし、文書の閲覧や編集、セキュリティ、デバイスの管理という点に着目して、開発を続けてきました。
スマートフォンのようなデバイスでは新機能ばかりが注目されがちですが、BlackBerryでは、ハードウェアとソフトウェアの双方でユーザーが簡単かつ安全にシステムを利用し、生産性を高めていくことを重視しています。
ITmedia 今後、どのようなソリューションに注目していくのでしょうか。
ヤッチ氏 大きく2つの点に注目しています。1つは、端末の管理をより効率的にするという点です。1社で数千台から数万台を運用するようになれば、IT部門の負担は非常に大きなものになります。これをきちんと管理できる仕組みを提供したいと考えています。
もう1つは、モバイル環境における通話ソリューションの強化です。われわれは「Mobile Voice Solution」と呼んでいますが、社内あての電話を社外にいるユーザーの端末でも受け取れるようにしたいと考えています。これまでは、VoIP技術を利用する方法が一般的ですが、BlackBerryでは既設のシステム環境でも利用できるようにします。
具体的には、CiscoやAvaya、NortelなどのPBXと企業内に設置するBlackBerry Enterprise Serverを連携させ、卓上電話に着信があると、BlackBerry端末でも同時に着信できるようにしていく計画です。このほかにも、HTMLメールへの対応やサードパーティー製アプリケーションの効率的な管理、グループ単位でのユーザー管理など、細かい点は山のようにあります。
ITmedia 日本では独自にメールシステムを構築したり、国内に特化したサービスを利用している企業が数多くあります。日本市場に対してはどのような対応を考えていますか。
ヤッチ氏 BlackBerryはPOP3とIMAPへの対応がメインであり、それ以外の形態ではインターネットを介して利用することになります。BlackBerry単体での対応が難しい場合には「BlackBerry Inetenet Service」というクライアントソフトを利用します。日本市場でもサービスを提供したいと考えています。
ITmedia 端末側ではどのような進化を目指すのでしょうか?
ヤッチ氏 LTE(Long Term Evolution)やモバイルWiMAXのような次世代ワイヤレス技術については、市場の普及状況を見ながら適切なタイミングで対応していきます。
機能面では引き続きビジネスユーザーにフォーカスします。マルチメディア機能なども強化しており、スマートフォンが仕事にも私的にも活用できるようになっていくでしょう。
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