パソコンや携帯電話でメタボ健診 NECが社内で実証実験脱落者を減らせ

PCのテレビ会議機能や携帯電話のテレビ電話機能を通じて保健指導が受けられるシステムをNECが開発し、社内で実証実験を開始した。

» 2008年07月19日 08時00分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 NECは、メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)の対策をPCのテレビ会議機能を通じて指導するシステムを開発、7月から社内で実証実験を始めている。実験の検証結果をノウハウとして集め、NGN(次世代ネットワーク)サービスやSaaS(サービスとしてのソフトウェア)形式で提供する考えもあるという。

 4月に始まった特定健診・特定保健指導制度(メタボ健診)に伴い、保健指導サービスの需要が高まっている。指導対象者の見込み数に対する指導者の不足、制度で規定された指導管理や事務処理業務の効率化、保健指導機関に通う手間や時間の負担が課題となっている。

image ポータル画面のイメージ

 同システムは、指導者のいる遠隔地にネットワーク経由で接続し、PCに取り付けたWebカメラから指導を受けられるようにしたもの。指導対象者は専用のポータル画面を通じて、体重の変動や診断結果を知ることができる。

 食事のメニューや運動の指南など、指導対象者を管理するツールを備えている。指導対象者が入力した体重や血圧の数値を、指導者と共有することもできる。日々の健康状態を共有し、数カ月にわたる継続的な指導ができるようになるため、指導対象者の脱落を防ぐ効果もあるという。

 実証実験は指導対象者10人、指導者3人の体制で7月10日に始まった。NECは社内に健康管理センターに常駐している医者でメタボ健診を実施しているが、人員は不足している。Web経由で指導を受けられる体制を作ることで、指導者不足に対応していく。「効果が実証できれば、指導者の数を増やし、外部にも広げる」(NEC広報)。 

image 実際の指導の様子

 指導対象者は保健指導機関に行く手間を削減できる。「メタボ指導は特定の期間で何度か行う。診断場所が遠方にある場合や、仕事で忙しい場合など、継続的に指導を受けるのは難しい」(NEC広報)。こうした課題を解決し、メタボリックシンドロームの該当者や予備軍を減らすことにもつなげられるという。

 実証実験では携帯電話の活用も検証する。携帯電話のテレビ電話を使うことで、「地方にいて診断を受けにくい社員や、対象者の家族も診断を受けられるようにする」(NEC広報)。

 将来的には運動用の動画コンテンツをNGNサービスとして配信したり、SaaS形式で提供したりすることも視野に入れているという。システムの導入支援も行う予定だ。

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