米Yahoo!を援護射撃!? ―― Yahoo! JAPAN、新サービスに込めた心意気Weekly Memo(1/2 ページ)

ヤフーが7月17日、インターネット広告の新サービスを発表した。日本法人の独自開発商品だが、「うまく行けば海外展開も」との心意気。買収騒動で揺れる米Yahoo!の援護射撃ともなるか!?

» 2008年07月22日 09時35分 公開
[松岡功ITmedia]

「ヤフーだからこそ」のサービス

 「新サービスは、検索以外にも幅広いサービスを展開しているヤフーだからこそ活用していただける広告商品だ」

 ヤフーの井上雅博社長は7月17日、インターネット広告の新サービス発表会見でこう強調した。「考え方としてはおそらく世界初の広告商品なので、きちんとご説明したい」との意気込みも。買収騒動で揺れる米Yahoo!とは裏腹に、日本法人の意気軒昂ぶりを示してみせた。

 ヤフーが今秋から配信開始すると発表した新サービスは、「インタレストマッチ」と呼ぶクリック課金型テキスト広告である。ユーザーが閲覧中のページの内容と、そのユーザーの興味・関心を組み合わせ、最適な広告を表示する仕組みだ。ヤフーと同社の子会社であるブレイナーの技術、オーバーチュアの営業・運用ノウハウを融合させた“日本発”のサービスである。

新サービスの発表会見に臨むヤフーの井上雅博社長

 ポイントはユーザーの興味・関心を取り込んだ点。それを知るためには、ユーザーがいま閲覧しているページに関する情報以外に、過去どのようなページを閲覧したか、また直近の検索キーワードなどをもとに総合的に判断する必要がある。

 インタレストマッチでは、ユーザーが閲覧中のページの内容と過去の閲覧履歴を組み合わせるとともに、都道府県など配信地域や性別・年代を絞り込み、配信スケジュールの時間毎の指定など複数の要素を加味。これによって、ユーザー1人ひとりに最適な広告を表示することができるため、クリック率が上がり、広告収益を引き上げられるというわけだ。

 この手法によって、Yahoo! JAPANの月間ページ閲覧数およそ400億ページビュー(PV)の半分に相当する200億PVに広告を配信するという。さらにサービス開始1カ月後をめどに携帯電話へも対応させる予定だ。

 インタレストマッチのさらに詳しい内容については、すでに報道されているので関連記事等をご覧いただくとして、「ヤフーだからこそ」と語った井上社長の冒頭のコメントについて少し補足しておきたい。

 「インタレストマッチの潜在市場は、検索連動広告と同等の規模があると見ている。検索の精度は、検索連動広告の方が10倍高いかもしれない。だが、Yahoo! JAPANでは検索以外の利用が全体の9割以上あるので、インタレストマッチ向けPVの在庫は検索連動広告の10倍以上あることになる。これらを掛け合わせると同等の規模になる」

 厳密に言うと、井上社長はこう説明したうえで冒頭のコメントを発した。ヤフーではこのインタレストマッチを、現在展開しているブランディング広告、検索連動広告に続く広告事業の第3の柱に育てていく考えだ。

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