日本通信は、NTTドコモとのネットワーク相互接続を完了した。FOMA網を利用したデータ通信サービスを始める。
日本通信は8月6日、同社ネットワークとNTTドコモのFOMAネットワークの相互接続が完了したと発表。FOMA網を利用したモバイルデータ通信サービス「b-mobile 3G」を予定通りとなる8月7日から開始する。
日本通信は、第3世代携帯電話網を利用したモバイルサービスの提供を目的に2006年からNTTドコモへ相互接続を申し入れてきた。iモードシステムを経由した相互接続については2007年12月に合意していたが、iモードシステムを経由しない仕組みでの相互接続に関しては協議が難航。総務大臣の裁定などを経て、レイヤ2およびレイヤ3の相互接続で基本合意し、まずレイヤ3での相互接続が実現した。
会見で三田聖二社長は、「通信設備の相互接続させた形態でのサービスの実現に12年間を費やした。移動体通信分野でもオープン性の高いサービスを提供できるようになる」と話した。
日本通信は、無線電気通信設備を保有しない国内初の「MVNO(仮想移動体通信事業者)」として1996年に創業。ウィルコムのPHS網を利用したデータ通信サービスを展開するなど、MVNOサービスの草分け的な存在として知られる。近年は大手ISPなどが相次いでMVNO事業に参入した。
三田氏によれば、いずれのサービスも無線電気通信設備を保有する電気通信事業者のサービスを自社ブランドで再販する形態を取っており、ネットワークを相互接続した形態でサービス化するのは同社が初めてになるという。NTTドコモのネットワークとは、10Mbpsの帯域で月額1500万円の接続料という条件で相互接続する。
b-mobile 3Gでは、中国ZTEが開発したW-CDMA方式のデータ通信端末を使用し、購入から480日の有効期間内で150時間分のインターネット接続を利用できる。対応環境は、Windows XP SP2およびWindows Vista。販売想定価格は3万9900円で、大手家電量販店で店頭販売される。今秋には利用時間を延長できる更新パックも発売予定。150時間分で3万円前後、120時間分で2万円前後になる見込み。
今後のサービス展開について、まず端末面では1年以内にスマートフォンやモバイルIP電話機、通信機能内蔵PC、MID(Mobile Internet Device)などを自社調達で投入する予定。さらには、モバイルWiMAXと第3世代携帯網に対応したデュアルモデルや、Googleなどが推進するモバイルのオープンソースプラットフォーム「Android」を採用した端末をサポートする計画であるという。
三田氏は、「通信事業者が主導する垂直統合型の国内の携帯電話ビジネスモデルは、外部から参入する上で大きな障壁となっている。Androidはサービス提供者やアプリケーション開発者にとって理想であり、われわれが通信インフラの部分をサポートすることで、Android端末の国内進出を支援できるだろう」と話した。
サービス面では、b-mobile 3GのMac OS対応版を早期に投入するほか、企業向けにはインターネット接続時間などを個別に設定できるといったデータ通信サービスを予定。また、端末の展開と連動してVoIPなどの音声通話サービスも検討している。
日本通信のデータ通信サービス利用件数は、個人ユーザーだけで約20万件に上るといい、b-mobile 3Gによって年内に10万件の新規利用を見込んでいる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.