暗雲漂う国内IT投資の行方Weekly Memo(1/2 ページ)

世界的な景気減速の影響を受け、国内でも企業による設備投資への慎重姿勢が強まりつつある中、堅調とみられていたIT投資の伸びにも暗雲が漂い始めてきたようだ。

» 2008年09月16日 10時29分 公開
[松岡功ITmedia]

民間設備投資の先行指標が2カ月連続減少

 内閣府が9月11日に発表した7月の機械受注統計調査によると、民需、官公需、外需などを合わせた受注総額は前月比8.5%減(前年同月比4.6%減)で、前月比4.8%減だった6月から2カ月続けて前月を下回った。

 また、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」も前月比3.9%減(前年同月比4.7%減)となり、受注総額と同様、6月(前月比2.6%減)から2カ月続けて前月を下回った。これにより、企業による設備投資への慎重姿勢が強まりつつあることが浮き彫りになった。

 内訳をみると、特に製造業からの受注が前月比10.4%減と落ち込み、中でも工作機械をはじめとした一般機械や化学工業の減少幅が大きかった。

 7月の受注総額からITに関連する電子・通信機械の前年同月比をみてみると6.6%減。受注総額の前年同月比を下回るとともに、3月から5カ月続けて減少していることが明らかになった。ただ、7月の電子・通信機械の内訳をみると、電子計算機が前年同月比2.3%減だったのに対し、通信機は携帯電話の落ち込みが響いて同17.3%減だった。電子計算機は通信機ほどの落ち込みではなかったものの、5月(前年同月比2.3%減)、6月(同3.2%減)と合わせて3カ月続けての減少となった。

 また、7月の受注総額から民需だけを取り上げて、電子・通信機械の前年同月比をみてみると0.8%減だった。この推移は下のグラフの通り、3、4、5月と減少し、6月には8.2%増を示したものの、7月には再び減少した形となっている。

IT投資 民需の電子・通信機械受注額の前年同月比の推移(内閣府の機械受注統計調査より)

 機械受注統計はハードウェアを対象としているので、ソフトウェアやサービスを含めたIT投資全体を投影したものではないが、直近の設備投資全体が減少傾向を示す中で、国内IT投資にも暗雲が漂い始めたのではないかと気になるところだ。

 それを端的に示した統計調査もつい最近、明らかになった。日経BP社発行の『日経パソコン』9月8号では、社団法人電子情報技術産業協会の協力を得て、「企業の情報化実態2008」と題した調査結果を特集しているが、それによると「2008年度は情報化投資予算を減らす」とした企業が全体の18.8%となり、前年度の統計よりも4.1ポイント増えたという。しかも、特に従業員が1000人以上の大企業に、そうした傾向が現れているとしている。

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