VMwareは「2008 VMworld」カンファレンスの初日、仮想化技術をサーバとデータセンターインフラの統合ツールからクラウドコンピューティングへと進出させることを目指したロードマップを発表する。
VMwareでは、多数の新しいツールやサービスを提供することにより、x86仮想化技術をデータセンターの奥深くに進出させる方針だ。同社の新ツール/サービスは、企業が自前のクラウドコンピューティングインフラを構築したり、サードパーティーのプロバイダーが顧客のためにアプリケーションをホストしたりすることを可能にするという。
ラスベガスで9月16日に開幕する「2008 VMworld」カンファレンスにおいて、VMwareはクラウド/グリッドコンピューティングに向けた取り組みについて説明する。MicrosoftやCitrixなどの企業との競争が激しくなっているものの、依然としてx86仮想化分野のリーダーとみられているVMwareは、クラウドコンピューティングを利用した仮想デスクトップ環境を構築するための新たな手段を提供する考えだ。
VMwareでは、この新しいクラウドコンピューティング構想を「Virtual Datacenter OS」(VDC-OS)と呼んでいる。同社で製品マーケティングを担当するシニアディレクターのボゴミル・バルカンスキー氏によると、同構想は、2009年から新製品/サービスという形で具体化が始まるという。VMwareのポール・マリッツCEO兼社長は、9月16日のキーノートスピーチで、Virtual Datacenterを含む同社のロードマップを明らかにする。Microsoftの元幹部のマリッツ氏は、EMC(VMwareの親会社)でクラウドコンピューティングの取り組みの責任者を務めた。
VMwareはVMworldショウでこれらの取り組みに焦点を当てるが、価格や新製品の提供時期などの詳細は明らかにされないようだ。
IT業界は現在、クラウド/グリッドコンピューティングモデルを利用することにより、ソフトウェアとコンピューティングパワーをオンデマンドで提供するとともに、電力や冷却などに掛かる経費を削減する方法を模索している。Pew Internet & American Lifeの最近の調査によると、インターネットにアクセスしている米国人の70%近くは、すべてWeb上で運用されている何らかのアプリケーションを利用している。
VMwareでは、自社の「Virtual Infrastructure」スイートに2つの要素を追加するとしている。
最初の部分は、バルカンスキー氏がOS(VDC-OS)と呼ぶ機能を作成する。このOSは、データセンター/クラウドインフラ全体(ハードウェア、ソフトウェア、仮想マシンがすべて含まれる)をコントロールする。これにより、コンピューティングリソースを追加する必要に応じてデータセンターを拡張できるほか、優れた可用性とセキュリティも実現できる。
バルカンスキー氏によると、VMwareのVDC-OSは、個々のサーバがアプリケーションを実行するために使用するLinuxやWindowsといったOSをリプレースするものではないが、クラウドを目指したVMwareの計画では、企業はサーバ、ストレージ、ネットワーキングなどデータセンターのあらゆる要素をコントロールできるようになるという。一方、VMwareのハイパーバイザーは、個々のハードウェア上に直接置かれ、その上でOSが動作する。
「Virtual Datacenter OSは2つの顕著な特徴を備える」とバルカンスキー氏は語る。「このOSは、サーバ、ストレージ、ネットワークなどハードウェアのすべての要素を単一の論理リソースに集約する。つまり、これらのx86ベースのコモディティパーツから単一のコンピュータを作成することにより、優れた復元性と最大限の効率を実現できるのだ。このプラットフォームは、アプリケーションのセキュリティ、可用性、拡張性を実現するためのサービスも備えている」
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