マニュアルを精読する人、まずスイッチをいれる人――新「気質分類」IT Oasis(1/2 ページ)

「あいつはA型だから今回のプロジェクトは難しい」――まさかそんな分類で仕事の編成を考えることはないだろうが、組織の各メンバーの気質をざっくりとつかんでおくことは重要だ。

» 2008年11月13日 12時06分 公開
[齋藤順一,ITmedia]

さまざまに取り組まれてきた分類法

 血液型性格判断というのがある。ABOの血液型によって性格や気質を分類できるという説である。科学的には否定する人も多いが、座興やコミュニケーションのきっかけに使われることも多い。

 類型論としては、ほかにクレッチマーの循環型、分裂型、粘着型3分類やユングの心的エネルギー方向と心理機能を組み合わせた8分類法など多数が提案されている。多くの専門家が自説を主張しているということは絶対的な分類がないことの証明でもある。

 筆者はITプロジェクトの支援をしているが、仕事の上である2分類法を用いている。理論や理屈があるものではないがご紹介したい。

 比較的新しい類型分類としてハーマンモデルというのがある。米国のネッド・ハーマンが提唱したモデルである。これを例に類型化をどのように行っていくのか見ていこう。

 ハーマンモデルは「思考スタイルは考えの異なる4分身の総体」として表現できるとの観察に基づいていると主張する。人間はA.分析型、B.組織型、C.人間関係重視型、D.資格化型の4つに類型出来るのだそうだ。ビジネスでこの類型を考慮して組織の中の役割を決めれば能力を最大限に引き出せるらしい。

ABCDでは覚えにくいからか、脳科学と結びつけて左脳・右脳軸、辺縁・大脳新皮質軸によるマトリックスと対応できるとも言っている。これを使ってA分類を左脳・大脳新皮質系というように呼ぶのである。

 こうした類型をどのように整理するのだろうか。さまざまな職業の人にいろいろな質問をする。解答を分析しグループ化していくのである。そうすると、保険数理士や財務部長、銀行マネジャーなどは論理的思考、事実の分析、数字の操作といった分析型の特性を持つ人が多く(A類型)、組み立て作業員、記帳事務員、銀行窓口事務員などは物事の組み立て、秩序ある環境にいる、規律を確立するといった組織型の特性の人(B類型)が多く集まったという。

 職種と類型との関連が得られたわけである。

 今度は逆に採用した人に同様な質問をして得られた結果を分析し、A類型ならマネジメント、B類型なら窓口というように配属すれば、その人の特性に合った業務に就かせることができるという理屈である。

 成功哲学の祖と言われるナポレオン・ヒルも同じような手法を使っている。

 成功した著名な人物、2万人あまりの調査をして成功の要因を抽出した。一般の人も成功の要因を実践すれば成功者になる確率が高くなるという理屈である。

 多くの経営戦略学者も実際の成功企業からある共通項を導きだし、そのフレームワークを使って経営戦略を立て実践すればうまくいくというアプローチを取る。経営学者のマイケル・ポーターは企業にとって居心地のよい業界がどのように分布しているかどうかを調査して、市場を脅かす5つの要因を抽出した。要因を逆に使えば市場に参入する戦略立案の助けになるし、すでに市場で活動する企業にとっては市場防衛戦略を考える糧になるわけである。

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