「お化けファイル」でコスト管理、もうやめませんかSASのコスト管理ソリューション

SAS Institute Japanが11日、「SAS Activity-Based Management 6.4」最新版のリリースを発表した。今後多くの企業が本格的に取り組むとされる活動基準原価計算、活動基準管理をサポートするツールとして注目される。

» 2008年12月12日 11時12分 公開
[ITmedia]

業務改革は隠れた「ムダ」をまる見えにしてから

 活動基準原価計算はABC (activity based costing)と呼ばれ、人件費などの共通費・間接費を正確に把握する手法である。業務プロセスごとに活動時間をベースにコストを計算する。ABCではじき出した正確な原価をもとに業務管理を行うことを活動基準管理、ABM (activity based management)という。

「コスト管理の全体最適化はこれからの緊急課題」と語る宮田靖執行役員

 今回発表されたSAS Activity-Based Management 6.4は、共通費・間接費に関して、活動をベースに配賦し、顧客別や商品別などのコストや収益性を正確に把握、その原因を特定する。さらに予想される業務量から設備や人員のキャパシティプランニングの機能も提供するという。

 SASの宮田靖執行役員は「製造業、流通業を中心に、工場ごと、コールセンター単体といった縦割りのコスト管理は高度化してきているが、サプライチェーン全体を通した業務プロセスのコスト管理という面では、まだ改善の余地が多く残されている。厳しい経営環境の下、配送、販売、廃棄などの詳細なコスト構造の把握や、業務プロセスをまたがった全社最適化が求められている」と語った。

 同じく森秀之PMビジネス開発部部長は「SAS Activity-Based Managementは、コストに関するデータを収集、統合し、一元管理する。これによって生産工程のコスト削減だけでなく、生産工程から販売に至るサプライチェーン全体を通したコスト構造が見える化でき、分析もスピードアップできる。プロセスの改善課題を明確にすることで、コスト意識の徹底を実現できる」と語る。

 最新版では、ABC、ABMに求められる機能を総合的に提供すると同時に活動ベースのシナリオを複数設定し、シミュレーションすることを可能にした。また、人、活動、製品、サービス、チャネルなどの切り口で深堀り分析することができる多次元分析機能をバンドルしている。また、コーディング等の専門的な知識のないユーザーが自分でさまざまな機能を活用することができ、SASの基盤製品との統合も実現され、高速処理が容易になった。

「継続的なコスト管理を容易にするツールとしてアピールしていきたい」と語る森秀之PMビジネス開発部部長

 宮田靖執行役員は、これからのコスト管理について次のように話す。

 「販売チャネルの多様化、製品の開発サイクルのスピードアップなどによって、業務プロセスは年々複雑化している。これらのデータの管理を行うためにお化けのように膨らんだ複雑なExcelファイルを利用している企業も多い。また、分析機能やシミュレーション機能が限定的なツールを使っているために、タイムリーな対応ができず、適切な改善活動ができないケースもあるようだ。コスト管理の全体最適化を実現するには、継続的に多角的なデータ収集、分析を行う必要がある」

 業務プロセスごとに、業務量を把握することは簡単ではない。現場のマネジャーでさえ実態を把握するには時間がかかる。また、一度把握した数値も時間の経過に伴い、変化していく。継続的なデータ収集を行うには、まずコスト管理に必要な手間を軽減することが先決だ。またリアルタイムに近いタイミングで、業務プロセスの改善の成果が反映されることで、社内のコスト意識の徹底も進む。

多次元分析の設定画面(左)とコスト配布基準定義画面

 今後もますます冷え込むことが予測される経営環境の中で、聖域はなくなった。多くの企業で売上高の大きい案件にもメスが入ることになるだろう。また、売り上げの少ない案件でも、収益性が高く、人をさらに配置することで大きな効果が生み出される可能性もある。

 生産現場だけではなく、営業活動や販売などの分野にもコスト管理の目を光らせようという動きは今後、さらに活発化するだろう。そうした意味でも、SASの今回の製品リリースは注目されるものだ。

 SAS Activity-Based Management 6.4は最小構成での導入で1000万円から。2009年内に5本の出荷を目指すという。

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