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» 2009年01月06日 13時00分 UPDATE

丸山先生レクチャーシリーズ 第2回リポート:“Windows Azure”はこう読み解け

先月開催された「丸山先生レクチャーシリーズ2008-2009」第2回では、エンタープライズITでクラウドをどう活用していくか、という課題についてさまざまな切り口からの講演が行なわれた。ここでは、丸山氏の講演内容を簡単にまとめた。

[渡邉利和,ITmedia]

 クラウドをテーマに展開中の丸山先生レクチャーシリーズ2008-2009の第2回は、日立ソフトウェアの講堂を会場に、12月16日に開催された。今回は全体テーマを「クラウドのエンタープライズ利用」とし、エンタープライズITでクラウドをどう活用していくか、という課題についてさまざまな切り口からの講演が4本行なわれた。ここでは、丸山氏による基調講演「MicrosoftのクラウドOS/Windows Azureについて」の内容を紹介する。

Windows Azureとは何か

tnfig1.jpg 「クラウドに欠けているのはクラウドのためのOS」と丸山氏

 丸山氏による基調講演では、Microsoftが発表した“クラウドOS”である「Windows Azure」を取り上げ、その機能やデザインを、背景となる現状での課題と対比させながら読み解く試みが展開された。

 同氏はまず、クラウドOSの存在意義をデスクトップOSと対比した上で、「ハードのエラーへの対応」「トラフィックの増大に対応する」「ストレージの容量の追加」「サービスのエラーの診断」「OSにパッチを当てる」「ソフトの更新を行う」「新しいlocaleに拡張する」などといった、サービス(ビジネスロジック)を実行するための基本的な操作の部分まで、現在はクラウドサービスの開発者が個々に実装している状態だと指摘した。

 デスクトップOSはこれらの面倒な部分を実装したものだからこそ受け入れられ、OSを利用することを前提としたことでデスクトップアプリケーションの開発が効率化された。同氏は「クラウドに欠けていたのは、クラウドのためのOSだ」とし、MicrosoftのWindows Azureに標準的なクラウドOSとしての立場を担うことへの期待感を表明した。

 同氏がクラウドOSが提供すべきものとしたのは基本的にはデスクトップOSが提供してきたものと同じ機能である。違うのは、結合されたサーバ上で高い可用性や統合された管理性を持ち、必要であれば従量制課金にも対応できるUtility computingの2点である。一方、Windows Azureが実現した機能の概要として「サービス管理の自動化」「強力なサービスのホスティング環境」「スケーラブルで可用性の高いCloudストレージ」「豊富で、かつ身近な開発環境」の4点を挙げた。

 同氏はWindows Azureを「CloudのOperating System」であり、Utility computingのためにデザインされた“Service management”“Compute”“Storage”“Developer experience”の4つの基本的特徴を備えると紹介した。

Windows Azureの中核はSDS、データサービスの重要性

 同氏はまた、「Windows Azureの中核はSDS(SQL Data Service)」だとも指摘している。第1回の基調講演でも示された同氏のクラウドに対する基本認識として、“現状のマルチティアWebアプリケーションをスケールアウトしていく際に生じる問題に対処する必要がある”というものがある。ここで同氏が重視するのは、データストレージ層へのアクセスの集中だ。

 既存の技術による解決としては分散メモリキャッシュが有効であるとする向きも多いが、同氏は「クラウドにおいては、クラウド対応の分散データベースが用意されるべき」とみているようだ。Windows AzureのSDSは、この視点から見て極めて重要な機能だということになるだろう。

 Windows Azureでは、Webアプリケーションが「Web Role」と「Worker Role」に分離され、その両者をストレージサービスが接続する、というアーキテクチャが採用されている。ここでも、SDSが重要な役割を担うことが窺える。丸山氏はSDSを「Cloudの中のデータベース」だとし、「ビジネスレベルのサービス品質」を備えると同時に、柔軟なデータモデルを実現できるものだという。SDSでは、データはエンティティとプロパティの組として表現され、プロパティは「Key−Value」型のペアとして格納される。第一回の講演でも語られたとおり、クラウド時代においては従来型のRDBではなく、「Key−Value」型の分散データベースがより重要な役割を担うようになる、という認識だ。

 現実には、既に稼働しているクラウドインフラも複数存在し、市場でのリーダーシップを争っている段階であり、MicrosoftのWindows Azureは後発なのだが、それゆえに先行システムよりも優れた面もあるだろう。今後Windows Azureが普及するかどうかは現時点ではまだ未知数ではあるが、少なくとも丸山氏がWindows Azureの設計を高く評価し、その普及に期待していることがよく分かる講演だった。

お知らせ

丸山先生レクチャーシリーズ第3回は1月13日開催です。第3回のテーマは「クラウド上のデータサービスの利用をめぐって」。GoogleのBigTable、AmazonのSimpleDB、MicrosoftのAzure SDSの、3つの分散データベース技術を取り上げ、それぞれの実装の特長を解説する。参加登録はこちらから。


本講演にかんするファイル


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