ニュース
» 2009年01月08日 08時05分 UPDATE

「2009 逆風に立ち向かう企業」セブンアンドワイ:システムへの飽くなき愛着が成長の原動力 (1/2)

インターネットで書籍やCDを販売するセブンアンドワイは、ビジネスの領域をテレビなどに広げ、堅調な成長を遂げている。「仕事もシステムも汗をかいてこそいい成果が生み出せる」と語る鈴木康弘社長に話を聞いた。

[聞き手:藤村能光,ITmedia]

 インターネット経由で書籍やCDを販売するセブンアンドワイは、EC(電子商取引)サイトの運営に加え、テレビメディアと提携した販売促進など多角的なビジネスを展開し始めている。売上高ベースでは2007年が168億7000万円、2008年は200億円近くに上る見通しとなるなど、順調な成長ぶりだ。情報システムをほぼすべてを自社で構築し、インターネット小売業の分野で成功を収めているセブンアンドワイの鈴木康弘社長に話を聞いた。

セブンアンドワイの鈴木康弘社長 セブンアンドワイの鈴木康弘社長

ITmedia 2008年のセブンアンドワイは主力のインターネット小売業にとどまらないビジネスを展開し、多角化に力を入れていた印象があります。

鈴木 ECサイト「セブンアンドワイ」の運営に加え、2008年は日本テレビと合同で会社を作り、テレビを使って商品を売るという新たな試みを始めました。タレントの石塚英彦さんを起用して全面プロデュースしたオリジナル弁当は2週間で350万食を売り上げるなど、消費者のニーズをくみ取った商品展開ができました。個人が情報を発信できるインターネットとマスメディアのテレビを結び付けることで何か新しいビジネスができると考え、通信と放送の融合を見据えた取り組みを始めたのです。

 セブン&アイのグループ企業が展開するインターネット上のサービスを統括するセブン&アイ・ネットメディアも設立し、セブンアンドワイやイトーヨーカ堂のEC関連の事業を運営しています。セブン&アイ・グループの流通ノウハウを基盤に、インターネット、メディア、店舗の融合を図りたいと考えています。

ITmedia 金融危機がもたらした景気後退が消費者に与えた影響をどう見ますか。

image 「雨が降れば傘をさすといった小売業の勘をインターネットに生かし、自分達が汗をかいて仕事をする」のが鈴木社長のスタンスだ

鈴木 金融危機が表面化した2008年の10月ごろに、セブンアンドワイでも売り上げが多少変動しました。消費が冷え込むといったたぐいの情報がマスメディアに多く報道された時期です。

 変動の要因は、商品の売れ筋が変わったからです。例えばDVDでは黒澤明監督の作品や「サウンドオブミュージック」といった往年の作品、音楽ではクラシックのCDが売れました。流行のものより何年も使えるベーシックな商品を選ぶという消費心理の変化が起こりました。

 書籍を例に取ると、1999年の会社設立時には「ロジカルシンキング」関係の書籍が売れ、その後人間の内面をテーマにした「鏡の法則」、2007年は「論語」のような哲学書や文芸書が支持を集めました。景気が良いときはテクニックに関する本が売れ、景気が悪くなると自分自身を見つめ直すための本が売れる。売れ行きから消費者の心理変化がつかめます。

 不景気だからといって消費者の購買意欲が減ったとは思いません。購入する商品をじっくりと選別するようになったのです。

ITmedia インターネット上でビジネスを展開する企業は金融危機の影響を受けているのでしょうか。

鈴木 インターネット広告など、無形物を扱うビジネスに価値を見いだしていた企業が立ちゆかなくなっている側面が見て取れます。物を売ることを事業の軸に据えているセブンアンドワイは、特に影響を受けたということはありませんでした。

 金融危機の表面化に伴い、日本全体の景気は冷え込むかもしれません。ですが、顧客と立ち会って汗を流し、事業を展開している企業はそれほど浮き足立つこともないと思います。2000年ごろに脚光を浴びたインターネット業界で、ビジネスの軸が定まらないまま株式を公開した企業などは、現在苦戦を強いられているのではないでしょうか。

ITmedia ECサイトを運営する企業にとって、24時間止まらないシステムの構築は必要不可欠です。御社はシステムのほとんどを内製化しているそうですね。

鈴木 システムを作り続けていかなければならないわれわれにとって、社内でシステムを作る体制を整えた方が業務効率の向上に結びつきます。内製化を進めているのはそのためです。現在インフラの構築からソフトウェアの開発まで、ECサイトを運営するのに必要な工程を20〜30人のエンジニアで運営し、約99%のシステムを内製化しています。

 すべてのシステムを外注する場合に比べて、10分の1程度のコストで運用できます。外注を挟まないため、営業や管理部門に掛かる種々の費用の削減にも貢献しています。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ