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» 2009年02月27日 08時00分 UPDATE

アナリストが斬るITトレンド:もう一度クライアントに目を向けよう――中堅・中小企業向けストレージのこれから (1/2)

中堅・中小向けストレージは今後、仮想化やクラウドコンピューティングなどのトレンドの中でさまざまな動きが予想される。また、有効な投資のためにはクライアントPCのあり方も再考する必要がある。

[岩上由高(ノークリサーチ),ITmedia]

本記事の関連コンテンツは、オンライン・ムックPlus「ストレージ市場の最新トレンド」でご覧になれます。


 最終回となる今回はユーザーのストレージ活用実態(第1回)ベンダー動向(第2回)を踏まえて、中堅・中小企業向けストレージ市場の今後について考えていくことにする。

ストレージ市場の今後を左右する3つの要素

中堅・中小企業向けストレージ市場を左右する要素は大きく分けて3つある。

  1. サーバ統合の手法
  2. ファイルアクセスとデバイスアクセスの比率
  3. 所有から利用への動き

 以下、それぞれについて詳細を述べていくことにする。

1.サーバ統合の手法

 サーバのセキュリティ強化や運用管理負担軽減の手段として期待されるのが「サーバ統合」だ。サーバ統合には「物理集約」と「論理集約」の2つのアプローチがある。

 「物理集約」とはサーバ筐体を物理的にまとめる手法を指す。タワー型サーバをブレードやラック型に変更し、設置スペースを少なくするといったケースが一般的だ。一方「論理集約」とは複数のサーバOS環境を単一のサーバ筐体上に並存させる手法を指す。VMWare ESX Server、Citrix Xen Server、Microsoft Hyper-Vといったサーバ仮想化技術がその代表例である。サーバが統合されれば、アクセスするデータも何らかの形で統合が必要になる。そのため、「どういう手法でサーバが統合されるか?」はストレージ市場の今後に多大な影響を及ぼすのである。

 例えば、サーバ台数が10台を超えない程度で、社内の全サーバを単一のエンクロージャ(シャーシ)に納められるケースではSANを導入する可能性は低い。最近ではエンクロージャのバックプレーンを経由してストレージ筐体にSASで接続し、あたかもSANのように複数のサーバブレードでストレージを共有できる仕組みが提供されている。わざわざSANを導入しなくても、同等のことがブレードの枠組みだけで完結してしまう。

 そのため、ブレードによる物理集約を主体とした小規模なサーバ統合においては、SAS接続によるストレージが主流になると予想される。その際はブレードとストレージは同一ベンダーになる可能性が高い。既存サーバベンダに比較的有利な市場セグメントといえるだろう。年商規模では中小企業クラス(年商5億円以上〜50億円未満)や中堅Lクラス(年商50億円以上〜100億円未満)が該当してくると考えられる。

 一方、サーバ台数が比較的多い、もしくはすでに何らかの共有ストレージに対する投資を行っている、ラックを中心とした論理集約によるサーバ統合を検討しているなどといった場合には、IP-SAN採用が選択肢に入ってくる。

 こうした環境では異種ベンダが混在していることが多いため、ユーザーは特定ベンダーに依存しない標準規格を重視する傾向が強い。論理集約を主体としたサーバ統合を行うユーザー層では、仮想化環境での動作検証に積極的なストレージ専業ベンダーが比較的有利といえるだろう。年商規模では中堅Mクラス(年商100億円以上〜300億円未満)や中堅Hクラス(年商300億円以上〜500億円未満)が該当してくると考えられる。

2. ファイルアクセスとデバイスアクセスの比率

 企業で扱われるデータは非定型化が進み、結果としてデバイスアクセスデータよりもファイルアクセスデータの占める比率が次第に高くなるというのが大方の予想である。この状況はNASとSANの選択に大きな影響を与える。NASとSANの大きな違いの1つがこのアクセス方式の違いであり、アプリケーションが稼働するサーバからRDBMSを格納するストレージへ接続するにはデバイスアクセス、つまりSANが一般的には必要になる。

 しかし、NASで対応可能なファイルアクセスデータの占める割合が増加していけば、SANの必要性は次第に薄れてくる。さらに、RDBMSへNASで接続する手段もすでに提供されているため、新規ストレージ投資を検討するユーザーにとってはSANを選択する必然性がますます薄れているのが現状である。こうした状況は中堅・中小企業向けにiSCSI対応ストレージを拡販しようとする際に大きな障壁になっていくと予想される。

3. 所有から利用への動き

 SaaSやクラウドコンピューティングといった言葉に代表されるようにIT活用の場面では「所有から利用へ」の動きが活発化しつつある。

 ストレージは企業の重要なデータを格納する入れ物であり、それを外部へ預けることへのユーザーの心理的抵抗は依然として根強い。しかし、メールアーカイブは外部へ預けた方が改竄リスクを低減できるという考え方もある。事業継続計画の一環としてバックアップデータを遠隔地に複製保存しておくということも大企業ではすでに広く行われている。データを社外に預けることに対するユーザーの抵抗感は徐々に緩和されていくだろう。

 多額の初期投資や自社内での運用管理が大きな負担となる中堅・中小企業にとって、オンラインストレージサービスは選択肢の1つとなりうる。現時点では個人向けやSOHO向けに留まっているが、今後中堅Lクラスにも波及してくる可能性は十分考えられるのである。

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