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» 2009年03月17日 08時00分 公開

次代を担う「MAID」と「SSD」:ストレージの新技術がグリーンITを牽引

企業内ITの省電力化を進める「グリーンIT」への取り組みの必要性はストレージ分野においても例外ではない。なかでもストレージ分野の次代を担う技術として注目すべきなのが「SSD」と「MAID」である。

[大神企画,ITmedia]

グリーンITはストレージ分野でも注目

 サーバやネットワーク機器と同様、ストレージにおいても「グリーンIT」は注目のキーワードの一つになっている。どのストレージベンダーも、グリーンITへの取り組みを強化・推進するコンセプトを発表し、各社が培ってきたノウハウと技術を取り入れた製品を開発している。

 グリーンITを実現するには、機器の省電力化を進めて環境に対する負荷を低減する取り組みと、機器の運用効率を向上させることで省電力化を図る取り組みの二つのアプローチがある。このうちの後者には、本特集の過去の記事でも紹介したように、ストレージを統合して機器の数をまず減らし、ストレージ仮想化機能によって効率化するというソリューションが考えられる。また、シンプロビジョニングにより、ストレージ容量を仮想化しておけば、将来の容量拡張を見越しつつ、未使用領域に相当するディスクを先行導入せずに稼働できる。これも、運用効率の向上によるグリーンITの実現につながるものだ。

 では、機器の省電力化によるグリーンITへの取り組みにはどのようなものがあるだろうか。以下、それを実現する最新技術について紹介する。

低回転数のディスクを採用するという解決策

 例えば、サーバの省電力化については、低消費電力で発熱が抑えられたプロセッサやメモリを採用したり、効率的に冷却するエアフローの設計によりファンの回転数を制御したりなど、各ベンダーがさまざまな技術革新に取り組んでいる。これは、ストレージ機器についても同様。コントローラに搭載されているプロセッサなどに低消費電力のパーツを採用するといったことは、すでに当たり前のように進められている。

 それに加え、ストレージの場合は「ストレージならでは」と呼べる工夫が取り入れられている製品もある。その一例に挙げられるのが、回転数が低速のディスクを採用することだ。高性能ストレージには毎秒10,000〜15,000回転のディスクが採用されているが、例えばバックアップデータを一時的に保存しておくニアラインストレージ、あるいはデータ保管を目的としたアーカイブストレージといった用途の場合、ディスクは必ずしも高回転である必要はない。そうしたストレージに毎秒7,500回転のディスクを搭載すれば、回転数が少ないぶんだけ消費電力を抑えられる。

 最新のエンタープライズストレージ製品の中には、こうしたニーズを考慮してFCやSASだけでなく、低回転数のSATAディスクを同一筐体内に共存可能な製品も数多い。日立の「Hitachi Adaptable Modular Storage 2000シリーズ」、NECの「iStorage Dシリーズ」など、どのストレージベンダーのハイエンド製品もSATAディスクをサポートしているので、保存するデータによって保存先のディスクを変えることによって、消費電力を削減できる。

駆動メカニズムが存在しないSSD

サン社内の検証センターで稼働するSun Storage 7000 サン社内の検証センターで稼働するSun Storage 7000

 ストレージ分野では現在、二つの最新テクノロジーが注目されている。いずれもグリーンITの実現に大きく寄与することが期待されているものだ。

 1つは、SSD(Solid State Drive)である。これは、記憶媒体に半導体(メモリ)を採用したもの。常時モーターが回転するディスクとは異なり、駆動系のメカニズムを持たないため、消費電力は非常に少ない。とくに待機時の消費電力には大きな差がある。

 省電力以外のメリットとしては、ディスクに比べてアクセスが非常に高速という点が挙げられる。読み込みが多いデータベースのように、高いトランザクションが求められる分野には最適だ。ストレージ階層化をさらに細分化する技術としても注目されており、「Tier0」にSSDを位置付けるストレージベンダーもある。

 ただし、SSDへの取り組みは、現時点ではベンダーによって温度差もある。積極的にSSDを推進しているベンダーの筆頭は、サン・マイクロシステムズだ。サンの「Sun Storage 7000シリーズ」ではSSDをサポートするだけでなく、ZFS Hybrid Storage Pool機能によってSSDからSATAディスクまでを1つのプールとして扱いながら、ストレージ階層化の運用が可能になっている。また、SSDをSATAディスクのキャッシュに利用する、という使い方もできる。サン以外もIBMの「IBM System Storage DS8000シリーズ」やEMCの「EMC Symmetrix DMX-4シリーズ」、HPの「HP StorageWorks XPファミリ」などがSSDをサポートしているが、現状ではまだ、ディスクよりはるかに容量単価が高く、また書き込み耐性にも課題があるSSDのサポートには、慎重なベンダーも少なくない。

ディスクの回転を止めてしまうMAID

 もう1つ、省電力を実現する技術として注目されているのが、MAID(Massive Arrays of Inactive Disks)である。これは、ディスクにアクセスがないときにディスクの回転を止めてしまうという技術だ。回転しないぶんだけ、消費電力の削減を期待できる。

 MAIDを最も積極的に推進しているのは、富士通であろう。富士通は2006年5月にエンタープライズストレージでいち早くMAIDを採用した実績がある。MAIDを実際にサポートするベンダーは現時点では少数派だが、その理由は頻繁にディスクを停止したり起動したりすることで障害発生の確率が高まるのではないかという懸念があるからだ。また、実際にアクセス可能になるには、起動するまでの時間が必要になることも問題視されている。

 それに対し富士通は、さまざまな角度から検証を実施。耐久面でも問題がないことを確認したという。もちろん、頻繁にアクセスがあるプライマリデータの保存先ディスクにMAIDを利用する考えはなく、バックアップやアーカイブ用途のディスクにMAIDが適していると位置付けている。

MAIDを活用した省電力の仕組み MAIDを活用した省電力の仕組み(富士通の資料より)

 SSDやMAIDについては、さらなる技術革新、およびコストの面で改善の余地を残している。だがこれらが、ストレージ分野における「性能向上」と「省電力」を両立させる期待の新技術であることは間違いないだろう。

関連キーワード

SSD | グリーンIT | ストレージ階層化


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