カウントダウンに向けて……ニュース解説 IBM、Sun買収額を減額

米国メディアの報道によると、IBMによるSunの買収交渉が最終段階を迎えているようだ。さて日本での受け止め方はいかに…。

» 2009年04月04日 08時39分 公開
[松岡功,ITmedia]

 Wall Street Journalなど米国の複数の有力メディアが4月2日(現地時間)、先月来、交渉が行われてきた米IBMによる米Sun Microsystemsの買収提案において、IBMが提示価格を引き下げ、交渉が最終段階に入ったと報じた(ニュース記事)。

 報道によれば、IBMは提示価格を当初の提案から1株あたり1ドルほど引き下げ、9.55ドルとして交渉を進めているという。こう聞くとIBMが交渉を有利に進めているようにもみえるが、Sun側はその見返りとして、今回の買収提案が独占禁止法違反の調査対象になっても交渉を継続する保証をIBMに求めているようだ。まさにSunが“崖っぷち”の交渉を行っている様子が浮き彫りになった格好だ。

 複数のメディアが、来週にも交渉成立の発表が行われる可能性があると報じているが、まだ予断は許さないとの見方もある。

 両社の買収交渉の報道に対し、UNIXサーバ事業でSunと関係の深い富士通の野副州旦社長は3月30日の記者会見でこう語っている。

 「IBMがSunをどのような形で買収するかで我々の対応の仕方も変わってくるが、いずれにしても顧客起点から離れた方向に進むことは考えられない。どういう形になろうと、富士通はこれまで通り顧客資産を守っていくということを、IBMともきちんと話し合っていくつもりだ」

 このコメントは「仮に買収交渉が成立したとして…」と問われてのものだが、顧客の動揺を和らげようという思いが滲み出ていた。SunのUNIXサーバを利用するユーザーの間では、今回の買収交渉にとまどいはあるものの、「要は今後も引き続き、しっかりとサポートしてくれるかどうかに尽きる」との声が本音のところ。カウントダウンに向けて、歴史的な買収劇を受け止めるムードが静かに広がっているようだ。

プロフィール

まつおか・いさお ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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