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» 2009年04月24日 21時09分 UPDATE

Oracle OpenWorld Tokyo 2009:あらゆる業界、すべてのビジネスに変化のチャンス――チャールズ・フィリップス社長

22日から24日まで、東京国際フォーラムで開催された「Oracle OpenWorld Tokyo 2009」。最終日の基調講演ではオラクル・コーポレーション社長チャールズ・フィリップス氏が登壇し、ソフトウェア産業とその製品を利用する企業ITの将来について語った。

[大西高弘,ITmedia]

ベストプラクティス使い論理的な意志決定を

 講演のタイトルは「Complete. Open. Integrated. - Oracle's Strategy to Bring Value to Your Business」。この2月にオバマ政権での経済回復諮問委員会(ERAB)のメンバーに加わったフィリップス氏は静かに壇上中央に進み、客席からの拍手を浴びた。

 「日本市場はOracleにとって特別な場所。これからも長いお付き合いになるだろう」と語り始めたフィリップス氏の口調は、爆発する企業システムでの情報量を語る段になって熱を帯びてきた。

 「データストレージ分野ぐらい伸びを示している市場は今のところない。爆発的な情報量の増加は誰も予想できなかった。企業の経営層はこの増え続ける情報の中から、本当の意味で役に立つ情報を見つけ出し、ビジネスを動かしていかなくてはならない。最も正確な情報を持ちえた企業が、論理的で正しい判断を下すことができる。競合企業や顧客の意思を憶測でとらえる企業に未来はない」

oracleceo.jpg 「憶測ではなく正確なデータで判断を下すことがますます重要になる」と語るフィリップス社長

 このことを踏まえた上で、フィリップス氏はビジネスの方法を変えていかなくてはならないと語った。

 「職人とともに、IT業界は成長してきた。しかしそのためにOSもアプリケーションも独自仕様のものが作られ、情報はサイロのように孤立し、それぞれが連携するインタフェースもないこともあった。Oracleは今後5年間標準化をキーワードにビジネスを展開していく。ユーザーは、すでに成功した市販のIT製品、実証済みのベストプラクティスを使うことで競合会社との差別化に集中するようになる。システムのカスタマイズは明らかに差別化できるもの、市場にないものだけだ」

 フィリップス氏は、ゼロからシステムを作り上げ、差別化できなかった最たる例として金融業界を挙げ、ハイテク業界はそんなことはもはやしていない、と話す。

 フィリップス氏は「Complete」「Open」「Integrated」という3つがこれからのIT業界、企業のITの将来を語る上で重要なキーワードになると話す。

 「Oracleはミドルウェア、アプリケーション、データベース、インフラ基盤それそれに完全なソリューションを提供することを求めている。それによって一貫性を持ったスイート製品をユーザーに提供する。また、オープンなアーキテクチャを構築することでユーザーに最大限の価値を提供し、ビジネスのスピードを上げる手助けをする。そして企業の中に蓄積されたさまざまな知識、ノウハウ、スキルを情報として結束する基盤作りを目指す」

 こうした基盤を作り上げることで、企業内でのコラボレーションを促進し、企業内にいる専門家が互いのスキルやノウハウを活用してビジネスを効率的に進めることこそが、これからの企業に求められる姿であり、そうした基盤を既製の製品で素早く作り上げる必要がある、とフィリップス氏は強調した。

 「ビジネスプロセスでも、データ管理でもない、その間のレイヤにあるシステムについては、全てミドルウェアとして統合され使われるべきだ。これによって単一のプラットフォーム上で同一のプロセスを使い、同じウィジェットで利用しながら、複雑なコラボレーションが可能になる。より安価なプラットフォームを手に入れ、拡張性のメリットを享受できるかどうかが、ビジネスの成長に大きく影響する」

シンプルさを意識することが大切

 ゼロからシステムを組み上げるのではなく、成功した既製品を使え、というのはいかにもOracleの社長らしい発言、と取れなくもない。「競合他社との差別化を図るためにはパッケージソフトなど使えない」という考え方に真っ向から対立する意見だからだ。フィリップス氏は「結局は差別化などできなかったではないか」と主張する。

 しかし、事はそう簡単な話ではないらしい。フィリップス氏はこんな話を始めた。

 「Oracleでも、数年前システムが複雑化してしまったことがあった。細分化された環境ができあがってしまい、シンプルさを失ってしまったわけだ。しかしこれを克服することで5年で55社の買収を成功させることができた。複雑なシステムで動いていては、こうしたことは不可能だ」

 シンプルであること、これを意識しない限り何をどのように活用しようとも、いずれはビジネスのスピードについていけない状態に陥るということなのだろう。

 小さなコンポーネントが開発され、それをユーザーが自分たちに合う形で組み上げなくてはならない時代は終わった、フィリップス氏が言いたいのはそういうことなのだろう。「統合された、検証済みの既製品を使おう。他社との差別化はそのシンプルな仕組みをうまく利用することで実現しよう。必要なサービスをすぐに立ち上げ、素早く利用する体制を作ろう」。ミドルウェアと標準化の重要性を改めて説くフィリップス氏の意図は、まさにそこにあるのかもしれない。

 最後に、フィリップス氏は「Oracleは業界を変えていくことを目標にしている。先ごろ話題になったニュースでも、この意思は理解していただけることだろう」と話し、Sun Microsystems買収がOracleにとってIT業界の地図を塗り替える目玉になることを示唆した。

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