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仮想環境にも役立つ「イベント管理のあるべき姿」JP1 V9 Review(1/2 ページ)

今回はJP1のVersion 9で強化された、統合管理の「大量イベント管理」に加え、イベントの「フォーマット変更」や「重大度変更」、「メッセージの変換」について取り上げる。

» 2009年07月15日 08時00分 公開
[友成文隆(日立製作所),ITmedia]

前回のおさらい

 統合管理はシステム全体の稼働状況を「見る」ためのモニタリングを構成する製品群であり、システム全体のリソースやサービスの稼働状況を業務視点で一元管理する。サーバの高性能化と仮想化技術の進展により、ますますシステムが集約され、集中運用が加速される。その中で統合管理は、仮想環境の対応に加え、多量のイベントを柔軟に処理できるようにした。

イベント管理件数の拡張

 イベント情報を管理するための「統合管理DB」の提供により、大規模システムで発生する大量の事象(イベント)を管理できるようになった。毎日数多くのイベントが発生するシステムでも、セントラルコンソール画面で管理できる範囲が広がっている。

 従来のバージョンでは、セントラルコンソール画面に表示できるイベントは最大2000件であったため、システム集約による大規模化に備えメッセージの沈み込みを防止すべく、10000件にまで拡張された。

 また従来は、該当イベントが表示されない場合は検索機能を使って表示する必要があったが、JP1 V9では統合監視DBの拡張にとどまらず、セントラルコンソール画面に表示するイベントに「スライダーバー」や「日付」を指定することで、目的の日時のイベントを表示できるようにした。このスライダーバーの移動範囲は、統合監視DBに格納された最も古いイベントから最新のイベントまでとなる。なお、イベント表示の表示期間を指定することで、過去1週間分を移動範囲にするといった使い方もできるようになった。

スライダーバーが追加されたセントラルコンソール画面 スライダーバーが追加されたセントラルコンソール画面

メモ設定機能

 多量のイベントを処理できるようになったことで問題になるのが、未処理のイベント件数も合わせて多くなることであり、調査状況の管理がより重要となる。

 従来のバージョンでは、未対処や調査中などのイベントに対処状況を設定することはできたが、誰が調査中であるかや、調査状況などの覚書きが書き込めなかった。それを受けJP1 V9では、対処状況だけではなく補足情報を書き込めるようになっている。例えば「イベントについて誰が対応中かを書き込み、対応状況を関連者で共有できる」といった具合だ。

メモ機能による補足情報の表示例 メモ機能による補足情報の表示例
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