“アンチGoogle”感情は実際に高まっているのかみんなGoogleが嫌い?(1/2 ページ)

Googleは巨大化したことにより人々に恐怖を感じさせているのかもしれない。ブック検索の和解が承認されれば、さらに大きな反対の声が聞こえてくるだろう。

» 2009年09月08日 16時37分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 「Google的思考」の著者ジェフ・ジャービス氏はBuzzMachineサイトで、Googleに対する反感について興味深い記事を書いている。

 Googleをめぐる記事の執筆に仕事時間の75%を費やしているわたしは、彼が言おうとしていることはよく分かるし、わたしもその問題についてよく考える。問題の根本原因がどこにあるのか示したいのだが、わたしには推測することしかできない。なぜなら、これは具体的事実よりも感情の問題であるからだ。的外れになるのを覚悟でわたしの見解を述べてみたい。

 ジャービス氏はまず、フランスではGoogleに対する反感が強いことを指摘し、それを「一種の国民的狂気」と呼んでいる。

 この点については、わたしにはよく分からないが、ヨーロッパの人々がGoogleに対して強い不信感を抱いているという話は聞いたことがある。同社がネット上で強大な力を持つ企業になったと感じているからだ。多くのアナリストによると、特にドイツがGoogleによるインターネット支配を恐れており、この巨大企業が検索データを日常的に収集することによってプライバシーを侵害していると考えているようだ

 Googley(Googleのような)な素晴らしい検索サービス、Gmail、各種の優れた無償Webサービスから目を転じ、Googley性の実体について思いを巡らせたとき、ボーグ(訳注:スタートレックに登場する機械生命体)のようなイメージが浮かび上がってくる。Googleは世界各地のデータセンターに100万台以上のサーバを保有しているのだ。

 映画好きの人であれば、Googleといえば「宇宙戦争」や「サイン」といったSF映画を思い浮かべるかもしれない。同社のサーバは、全人類の頭上を覆うエイリアンの宇宙船を連想させ、彼らは食糧として人間を収穫する代わりに、より良い広告機会を求めて人々の検索データを収穫しているというわけだ。

 ジャービス氏は指摘する――「Googleに不満を抱いている人がいる。彼らはインターネットに対して、変化に対して、そして技術に対して不満を抱いている人々であり、Googleを攻撃目標として利用しているだけだ。同社が巨大で革新的であるからだ」

 その通りだ。人々がGoogleを恐れるのは、この「巨大」というイメージに起因するものであり、この懸念は検索市場におけるGoogleの独占という認識につながる。ジャービス氏はさらに次のように述べている。

 Googleは独占企業ではない。同社は競争力が高い企業であり、同社が広告で収益を上げているのは1つの単純な理由による――広告主は旧来のメディアよりもGoogleと取引する方が有利だと考えたからだ。彼らは成果を買うことができ、Googleがリスクを分担してくれるのだ。長年にわたって広告主を欺いてきたことで顧客を失ったのは、メディア企業の責任だ。

 Googleがなぜ強大になったのかに関するジャービス氏の分析には賛成だ。しかしGoogleが独占企業ではないという論理は無理がある。Googleが非常に巨大化したために、人々が同社を独占企業であると考えているという意味において、同社は独占企業だ。ダン・タンケラング氏はThe Noisy Channelサイトで次のように記している。

 Googleは法律や倫理に反するような行為をしたことがないかもしれないが、米国人の大多数そして西欧社会の多くの人々にとって、インターネットの主要な守衛という立場を占めるようになった。

 もちろん、理屈の上では誰もGoogleに閉じ込められているわけではないが、同社は人々をコンフォートゾーン(居心地がいいと感じる領域)に導くのが非常に上手なので、誰もそこから去ろうとしないのだ。Microsoftが提供する素晴らしいBing環境に移動することさえ恐れる人がいる。Gmailに5年分のデータがたまっていて、移行する労力が大変なので離れられないという人もいる。

 Googleはどちらかといえば、数字の上での独占企業だ。同社は全世界の検索で65〜70%のシェアがあり、同社に対する反発が最も強いといわれる欧州でも最も人気が高い検索エンジンだ。

 しかし同社は裁判所から有罪判決を受けたことはなく、また独占企業であるという理由で裁判にかけられたこともないということを指摘しておく必要がある。では、同社に対する恐怖はどこから来るのだろうか。皮肉なことだが、その背景にはインターネット分野における同社のライバルであるMicrosoftの存在がある。10年前の独禁法裁判で、Microsoftはハイテク企業が巨大化し過ぎることに対する条件反射的な恐怖感を人々に植え付けたのだ。

 また、検索市場におけるGoogleの支配は、プライバシーをめぐる懸念を呼び起こす原因にもなっている。

 その論理は次のようなものだ――「Googleは非常に巨大化し、行動ターゲティング広告などの手法を通じてコンシューマーに関する膨大なデータ収集した結果、同社はユーザーデータの仮想倉庫になった。これはユーザーのプライバシーを脅かすものだ」というわけだ。なるほどという気がしないでもないが、これは窓の外に目を向けたときに暗雲が漂っているのを見て、雨を恐れるのと同じようなものではないだろうか。

 現実には、Googleはデータストアを利用してプライバシーを侵害したこともなければ、コンシューマーの利益に反してデータを開示したこともない。信頼を裏切るような行為をしたこともない。しかしプライバシー擁護派は、それでも同社はプライバシーを脅かしていると主張するのだ。

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