100点よりも240点を目指したいオルタナティブな生き方 林雅之さん(1/3 ページ)

クラウドコンピューティングをはじめとする「ICTの今」を解説するブログ「『ビジネス2.0』の視点」を執筆する林雅之さんに、人生観やブログ観を語ってもらった。

» 2009年09月28日 11時30分 公開
[土肥可名子,ITmedia]

 林さんといえばオルタナブロガーの「クラウド」第一人者。器用な何でも屋のいちサラリーマンだった彼が「クラウドといえば林」と勤務先でも一目置かれるようになったのは、まさにブログのおかげという。そんな林さんに人生観やブログ観を聞いた。

水筒持参で新幹線通勤

林 雅之さん 『ビジネス2.0』の視点 林 雅之さん

 群馬県の高崎市に来たのは大学生のときです。就職して結婚して家庭を持って、かれこれ20年。片道2時間の新幹線通勤も10年目に入りました。「新幹線通勤は大変ですね」と言われるのですが、自分はそうでもなくて、むしろ気に入ってるぐらいなんです。ブログにも書いてきましたが、週末は群馬の自然と遊び、平日は東京のデジタルな最先端の仕事に携わる。距離感がもたらすアナログとデジタル、このメリハリが仕事と生活の両立、そしてブログを毎日書く原動力にもなっている気がします。

 起床時間は6時。起きたらまずブログを書いたりニュースサイトをチェック、それから自分で弁当を作ります。僕、水筒男子なんですよ。水筒を持参するだけ1日300円くらいは節約できますから。お弁当と水筒で浮いたお小遣いは、本を買ったりブロガー定例会や研究会などの参加に回しています。

 7時半に家を出て、歩いて15分の駅から始発の新幹線に乗ります。席に座って日本経済新聞を読みながら……まぁ朝は特に忙しくなければ20分位で寝ちゃうんですけれど。夏場以外は1駅分歩いて行きます。体重の方をですね、ちょっとどうにかしたいもので(笑)。

 早く帰れる日は、スパッと6時過ぎには会社を出ます。帰りの新幹線でブログのネタを考えたり、本を読んだり、Twitterをやったり、仕事のことを考えたり、通勤時間が長い分、その日の状況に応じて時間を有効利用しています。

 出身は愛知県豊田市です。トヨタ自動車の本社から歩いて10分位のところ。父はトヨタの技術者でした。弟が一人いますが彼も自動車のエンジニア、文系人間は僕だけです。自分の車もいじれないので、妻にはあきれられています。

 父の仕事の関係で、小学2年生から4年ほどインドネシアのジャカルタで暮らしました。向こうにいる駐在員家庭はみなそうですが、わが家もお手伝いさんが2人に運転手さん2人という、日本から見ると優雅な生活で。このお坊ちゃま暮らしのおかげで今でも片付けが下手なんです(笑)。小さいころにしつけられないとダメですね。

 でもこの経験のおかげで、海外で仕事をしたい、父と同じように国際的な仕事をしたい、という夢を持つようになりました。会社に入社した際にも、将来は海外、特に東南アジアでの仕事をしたいという希望を出しました。

第一希望は必ず失敗!?

 就職を考え始めた当初、第1希望群は英会話学校などの英語が使える仕事でした。大学時代、英語サークル(ESS)で部長まで務めたぐらい英語には思い入れがありました。接客も好きだったし、何より当時NOVAとかは就職先として人気があったのです。あとは商社とか。でも行きたいと思ったところは、次々と落とされました。

 必ず最初は失敗から入るんです。第1希望はかなわない。成績もいいときと悪いときのアップダウンが激しかったですね。ジャカルタの日本人学校ではオール3、日本に帰ってきたら急に成績が上がって5がたくさん並んでいました。

 後から考えたら、日本人学校には結構優秀な生徒が多くてレベルが高かったらしいんですけれど、「あれ、オレ結構できるかも」なんてちょっと勘違いしちゃって。中学ぐらいまでは良かったんですけれど、やはり油断もあって高校に入ったら成績が下がりました。で、浪人して予備校に通ったんですが、夏ぐらいまでは早慶模試でも上位に入る成績。お、いけるかなと思って、気が緩んでパチンコに熱中しすぎてしまいました。

 結果は現役、浪人時代含めて24校受けて3勝21敗(苦笑)。最後に受かった大学に入りました。好きなだけ受験させてくれた両親には本当に感謝しています。

 就職活動も次々落ちちゃって。ICT系は最初はあまり興味がなかったんですけれど、今の会社は当時新卒を大量採用していましたので、うまく滑り込めるかもしれないと思って応募しました。でも多分1回目の面接は、志望理由もなく企業研究もしていなかったので、評価は厳しかったのだと思います。「じゃ、何かあったら電話してください」と言われて2週間以上たっても電話がなかった。「こりゃ落とされたかな」と思って電話して少し思いを伝えてみたんです。そうしたら、急だけど2日後の週末に上の人に会ってくれといわれて。すぐさま日経新聞を2カ月分位逆のぼって関連記事を切り抜きました。ノートに貼ってその記事の所感を書いて……。

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