HPが一石を投じたクライアント進化論Weekly Memo(1/2 ページ)

日本HPが先週発表したインターネット専用のデスクトップ端末は、クラウドコンピューティング時代に向けた「クライアント進化論」に一石を投じたものといえそうだ。

» 2009年10月13日 08時00分 公開
[松岡功ITmedia]

HPがクラウド専用端末を投入した理由

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)が10月5日、インターネット専用のデスクトップ端末「HP t5730wi Internet Appliance」を発表した。HPがこれまで多くの導入実績を持つシンクライアントのノウハウを活用し、Webアプリケーションなどが動作するクラウドコンピューティング環境での利用に特化したのが最大の特徴だ。

日本HPが発表したクラウド専用端末「HP t5730wi Internet Appliance」 日本HPが発表したクラウド専用端末「HP t5730wi Internet Appliance」

 新端末は、フルブラウザ(Internet Explorer 7)の搭載だけでなく、Sun Java 6.14やAdobe Flash 10、Direct X 9.0cなどのWebアプリケーションを利用するために必要なソフトをプリインストール。また、HDDや光学ドライブ、冷却ファンなどの駆動部品を搭載していないため、静音性が高く壊れにくい環境を提供している。

 さらに、ユーザーごとに必要なモジュールを組み込んだマスターイメージをプリインストールして出荷する新たなサービスを提供。これにより、初期設定作業の工数を低減させることができるとしている。

 新端末の詳細な内容については、すでに報道されているので関連記事を参照いただくとして、ここではHPが新端末投入で描くクライアント環境の進化の方向性に注目したい。

 発表会見で、日本HPクライアントソリューション本部の九嶋俊一本部長が新端末投入の狙いをこう語った。

 「クラウドは、いわばサービスのユーティリティみたいなもの。そんなクラウド時代を迎えた今、クライアントは果たして従来のPCだけでいいのか。サービスのユーティリティがあるのならば、その専用端末があってもいいのではないか」

 「要は、電源を入れてネットワークにつなげるだけですぐにサービスが使える環境、もっと簡単に管理できる環境、もっと省電力化を図れる端末があっていいはずだ」

 「昨今、Google AppsやSalesforceなどクラウド上で完結するサービスが広く利用されるようになり、企業内のアプリケーションもWeb化が進んでいる。そうした中で、クライアントもPCからシンクライアントへの移行が進みつつあるが、その流れがさらに加速すれば、クラウドサービスを利用できる単純なネット専用端末で十分だというユーザーの声も高まってくるのでないか。今回の新端末は、そうしたニーズを先取りしたものだ」

 とはいえ、現状において企業のクライアントの大半を占めているのは、やはりPCだ。それには理由がある。Microsoft Officeの存在である。

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