情報セキュリティ市場、日本は世界の13%――IPA調査

IPAは、情報セキュリティ産業の市場規模や構造を日米欧韓で調査した結果を公表した。

» 2010年01月28日 14時42分 公開
[ITmedia]

 情報処理推進機構(IPA)は1月28日、世界の情報セキュリティ産業の構造分析をした結果を公開した。日本の市場規模は世界の13%を占めるという。

 調査は、2008年9月〜2009年7月に日本と米国、英国、フランス、ドイツ、韓国の事業者や政策関係機関、有識者などへのインタビュー、文献調査で実施したもので、市場規模や産業の構造、主要事業者の状況、情報セキュリティの政策や技術の動向について調べた。

 2008年の市場規模は米国が2兆4951億円で、世界の45.2%を占めた。西欧は1兆5021億円(27.2%)、日本は7268億円(13.2%)、韓国は約600億円(1.1%)だった。

 産業構造では、韓国を除いて製品提供で米国事業者の占める割合が高いと推測され、サービス提供でも自国の事業者を中心に、日本や欧州では米国事業者の活動が活発だという。また、日本ではエンドユーザーに至る製品の流通過程やサービスの面でシステムインテグレーターが大きな役割を果たしている。一方、米国では「レップ」と呼ばれる媒介事業者を介してメーカーとエンドユーザーが直接取引する構造が強く、システムインテグレーターが流通に占める役割は小さいという。

日本の情報セキュリティ産業の役割構造

 政策面では、日本以外の各国で技術開発に対する政府資金の活用や、民間移転の仕組み、情報セキュリティ人材の育成のための施策が展開されていることが分かった。例えば、米国では「連邦政府情報セキュリティマネジメント法」をベースに、国立標準技術研究所が基準やガイドラインを制定し、行政管理予算局が実施を推進する。米国会計検査院と議会が報告と監査するという権限の分離が体系化されている。

 日本の情報セキュリティ関連政策では、政府機関の情報セキュリティ対策は内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)が政府機関統一基準を策定し、府省が自主的に取組みを実施している。政府機関統一基準などによる基準や技術の開発は行わず、民間での参照も限定的であり、民間への波及効果や技術支援といった要素は伴なっていないという。情報セキュリティ人材を狙った育成策もなく、技術開発支援成果を民間で事業化する取り組みが限定的であることなどが分かった。

 IPAは今後も調査を継続し、国内の情報セキュリティ産業の活性化や対策をより高度化・充実させるための施策に反映させたいとコメントしている。

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