新入社員に求める「グローバル志向」と「専門性」――IT各社トップのメッセージ

新年度を迎えてIT各社のトップが新入社員にメッセージを送った。今年のキーワードは「グローバル志向」と「専門性」にあるようだ。

» 2010年04月02日 07時30分 公開
[國谷武史, 藤村能光,ITmedia]

 多くの企業が新たな事業年度を迎えた4月1日、全国各地で入社式が行われた。IT各社のトップは「グローバル志向」や「専門性」をキーワードに挙げ、世界を舞台に優れた能力を発揮できる人材へ成長してほしいと新入社員に呼び掛けている。

 リーマンショックを契機に世界経済が急速に冷え込んだ2009年度の入社式では、「自ら考え、切り抜ける力を養ってほしい」というメッセージが目立った。多くの企業が一瞬にして厳しい事業環境へと陥り、新入社員には困難を克服する力を持つよう呼び掛けていた。

 世界各国で政府主導による経済の持ち直し傾向がみられるが、依然として先行きは不透明だ。日本国内は人口が減少に転じ、高齢化にも拍車がかかる。企業の成長を担う新入社員に、より広い市場でビジネスができる人材になってほしいと願うのがトップのメッセージであるようだ。

 日立製作所の中西宏明社長は、「異なる市場環境を正しく理解するには、日本で机上の勉強をするだけでは足りない。現地に飛び込み、言葉を覚え、具体的にセールス活動や、顧客のニーズを想定して提案をしていくような挑戦が必要だ」と呼び掛けた。NECの遠藤信博社長も、「グローバルリーダーになるには、一人ひとりがグローバル視点で顧客を理解し、貢献してほしい」と述べた。海外に目を向けるだけでなく、現地の環境を体で理解してほしいというものだ。

 ソフトバンクの孫正義社長は、「国内需要が減っていると言われるが、可能性のある市場と提携するなどポジティブに前に進むことで、困難を突破できる」と語る。日本HPの小出伸一社長は、「リーマンショックが瞬時に世界へ影響を及ぼしたのはグローバル社会を象徴したもの。しかし、イノベーションを起こせれば、明日にでも全世界に広がる可能性も秘めている」と話した。ビジネスのグローバル展開が決して難しいものではないと、両氏はエールを送っている。

 グローバル志向と併せて各社トップが新入社員に求めるのが、専門スキルを身につけること。気持ちだけでなく、現実に実行して成し遂げる力を養ってほしいという。

 NTTデータの山下徹社長は、「より良い社会をつくりたいという志を持っているのであれば、実現するためのシナリオを考え、そのために必要となるスキルを身につけていくべき」と述べた。富士通の山本正己社長は、「努力を怠らず、自分の道を自分で切り開くこと。自分の人生に責任を持つこと。自分にできることは何かを考えて努力すると、やりがいが生まれ道が開ける」と激励した。

 日本アイ・ビー・エムの橋本孝之社長は、「自らが世界の第一人者として世界の顧客に貢献できる知見と能力を身につけていってほしい」。日本オラクルの遠藤隆雄社長は、「何事にも積極的に果敢にチャレンジし、一芸に秀でて、自分が決めた分野でナンバーワンになることを目指してほしい」とそれぞれ呼び掛けている。

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