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» 2010年04月20日 08時00分 UPDATE

導入事例:競馬の最新オッズ情報を取り出す端末のリニューアルでサービス品質を向上――日本中央競馬会 (1/2)

日本中央競馬会(JRA)が、全国10カ所の競馬場およびWINSなど37カ所の場外勝馬投票券販売所に約1200台設置している専用の情報端末がオッズボックスである。従来は文字放送信号を専用インタフェースで受信する方式をとっていたが、第2世代の端末はLANによるIP通信方式を採用。最新ハードウェアへの更新とともに、運用管理の強化が図られた。

[小山健治,ITmedia]

任意のオッズ情報を一括プリントアウトする専用情報端末

 競馬の楽しみ方は、ここ数年で飛躍的に多様化した。そのきっかけとなったのが、2004年における3連単の販売開始だ。それまで最大153通りしかなかった勝馬投票券の組み合わせが、3連単の登場によって4896通りにまで膨らんだのである。

 こうしたバリエーションの拡大に合わせて日本中央競馬会(JRA)が注力してきたのが、勝馬投票券を購入する際に参考となるさまざまな情報を、より簡便な形で提供するためのシステム構築である。

 「オッズボックス」は、その取り組みの象徴とも言えるシステムだ。全国10カ所の競馬場およびWINSをはじめとする37カ所の場外勝馬投票券販売所に、合計約1200台の専用端末を設置。専用のプリペイドカードを使い、JRAの全国10カ所の競馬場で開催されるレースの最新オッズ(勝馬投票券が的中した場合の概算払戻率)や競走成績を、タッチパネル操作で簡単に印刷できるというものだ。

横田氏 お客様事業部 システム統括室 統合情報システム課 課長補佐 横田健樹氏

 JRA お客様事業部 システム統括室 統合情報システム課 課長補佐の横田健樹氏は、このオッズボックスを開発した狙いを次のように語る。

 「従来は、オッズ情報を紙に出力する『オッズプリンタ』と呼ぶ機器を導入していましたが、単票式のため、多くのオッズ情報を出力しようとすると数ページに及んでしまい、利便性や処理時間が課題となっていました。そうした中で寄せられていた、『ロール紙に一括出力してほしい』というお客様のご要望に応えるべく、オッズボックスを導入したのです」(横田氏)

 さらに、このオッズボックスのコンセプトを継承しつつ、アーキテクチャを全面的に見直した、第2世代オッズボックスの検討が始まった。

尾崎氏 お客様事業部 システム統括室 統合情報システム課 統合情報システム係長 尾崎準一氏

 JRA お客様事業部 システム統括室 統合情報システム課 統合情報システム係長の尾崎準一氏が、そこでのエンハンスのポイントを次のように説明する。

 「第1世代のオッズボックスは、テレビ放送に含まれる文字放送信号を専用インタフェースで受信し、そこから指定されたオッズ情報を切り出して印刷するという方式を採用していました。しかし、地上波デジタル放送への移行によるアナログ放送の停波に伴い、2011年7月以降この方式は使えなくなってしまいます。そこで、第1世代オッズボックスが5年間の耐用年数を終え、ハードウェアのリプレース時期を迎える2009年をターゲットに、Ethernet LANによるIP方式でデータの受信を行う第2世代オッズボックスの導入計画を進めてきました」(尾崎氏)

端末の監視強化も踏まえてソリューションを選定

 第2世代オッズボックスの運用を支えるインフラとなっているのが、各地の競馬場やWINSなどの売場ごとに展開されたLAN環境である。「iOSサーバ」と呼ぶ中継サーバの配下にオッズボックスを接続し、マルチキャスト方式で各オッズボックスに最新オッズなどのデータを配信するというのが基本的な仕組みだ。なお、各地のiOSサーバは、広域Ethernetによって上位センターと結ばれており、随時、最新情報への更新が行われる。

 この一連のシステム構築にあたっては公開入札が行われたが、最終的にJRAが採用したのは東芝ソリューションによる提案だったという。

 「現在、最も多くのオッズボックスを展開しているのが東京競馬場で、その数は約150台に上ります。これらのオッズボックスから一斉に操作が行われた際にも、一定の時間内に印刷までの処理を完了する必要があります。これらのピーク時を想定したパフォーマンス設計やレスポンスの制御は決して容易なことではありません。また、用紙切れやハードウェア故障などのエラーが発生した際にも、早急に対処できなくてはなりません。これらの基本要件に加え、コスト、機能、専用ハードウェアを含めた開発力、全国をカバーする保守サポート体制などの総合的なポイントから、各ベンダーの提案を評価しました」(横田氏)

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