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» 2010年04月22日 11時30分 UPDATE

ドジっ娘リーダー奮闘記:その“教えない”には訳がある (1/2)

教育には、スクール形式のセミナー受講や、業務を通じて学ぶOJTなどさまざまな方法があります。新入社員の教育に適しているのはどれなのか、しんこちゃんと一緒に考えましょう。

[小俣光之,ITmedia]

 ある晴れた日の午後、先輩リーダー輩田(やからだ)さんのデスクに新米リーダーしんこちゃんがやって来ました。

イラスト:本橋ゆうこ 試練を乗り越えて成長してね イラスト:本橋ゆうこ

しんこちゃん 輩田さん、毎度毎度恐縮ですが相談に乗っていただけませんか? 来春入社する社員の教育について悩んでいるんです。

輩田さん しんこちゃんは来年度の新入社員教育プロジェクトのメンバーになったんだったね。教育期間は3カ月だったかな?

しんこちゃん はい、そうです。せっかくわが社に来てくれるのですから、少しでも早くスキルアップして生き生きと活躍してほしいと願っています。そのためにはどうすればいいでしょうか?

輩田さん しんこちゃん、また悪い癖が出たぞ。人に聞く前に、まず自分はどう考えているのかを話してごらん。

しんこちゃん そうでした、すみません。「どうすればいいでしょう?」は言ってはいけない言葉の1つでしたね。教育には、スクール形式のセミナー受講や業務を通じて学ぶOJT(On-the-Job Trainingの略)などさまざまな方法があります。わたしの経験を振り返ると、セミナーで教わったことはほとんど記憶に残っていないので、現場でどんどん経験する方が一人前になる近道と考えています。ですが……。

輩田さん ですが?

しんこちゃん いざOJTに入ったら、今度はいきなり仕事の一部をやらされて、なかなか筋道の通った勉強ができませんでした。新入社員にはそんな経験をさせたくないなあ、と悩んでいたんです。

輩田さん なるほど、気持ちは良く分かった。わたしはね、新入社員には技術面とコミュニケーション面の教育が必要だと考えているんだ。そして、その2つは違うスキルアップの方法をとるべきだとも思う。まず、技術面は自力で何とかする力を付けさせること。セミナーを受講してもあまり身に付かなかったのは、その時のしんこちゃんが受け身だったからじゃないかな?

しんこちゃん そうかもしれません。講義を聞いても眠くなるばかりでしたので。

輩田さん セミナーはむしろ、問題意識が芽生えてからの方が役立つものだ。技術面の教育は、課題でも仕事の一部でもいいので、とにかく任せてみることだ。やり方は本人にできるだけ考えてもらい、自分から具体的な相談をしてもらうようにするんだ。簡単に答えを教えないことも、実は本人のためになる。答えを知ろうと自発的に動いてもらうことや、自分で何とかしようとする気持ちを持たせることも訓練にもなるんだよ。

しんこちゃん なるほど、分かりました。ではコミュニケーション面の教育はどうしたらいいのでしょう?

輩田さん コミュニケーションスキルは、客先訪問に同行したり、ミーティングに同席したりしながら身に付けていくものだ。話の流れや場の雰囲気を体感し、メモを取り、慣れてきたら少しずつ発言する、と徐々に経験できるように導くといいんじゃないかな?

しんこちゃん なるほど。一口にOJTと言っても、何を目的にするかによってやり方が違うのですね。

輩田さん そのとおーり。ただ経験させるのではなく、明確な意図を持って経験させることが教育には大切だ。それとね、新入社員の教育にはもう1つポイントがある。それは「鉄は熱いうちに打て」ということだ。

 新入社員は社会人になる期待と不安に胸を膨らませている。その思いがあるうちに、しっかりと教育をすることが大切だ。初めは甘やかして徐々に厳しくしていこうと思っても、そうはうまくいかない。内定者が卒業するまでの間にできるだけコミュニケーションを取って、社会人のイメージをつかんでもらったり、アルバイトなどで技術的な経験を積んでもらうのもいいかもしれないよ。少しでも早く一人前になることは、会社にも本人にも良いことだからね。

しんこちゃん 会社にとって即戦力が良いことは分かりますが、本人にとってはどこが良いのですか?

輩田さん 居心地が良くなるんだよ。給料をもらっていながらあまり役に立っていないと、周りに気を使って居心地が良くないだろう? 早く一人前になって、任せてもらえる仕事や得意分野ができたら、自分の居場所ができて居心地が良くなるんだ。

しんこちゃん なるほど、そうですね。役に立てる分野ができると、チームの仲間になれたって感じますものね。

輩田さん そうそう。新入社員の教育プランを考えるときは、早く一人前になれるように、本人はもちろんのこと周りのメンバーにも意識してもらうことが大切だよ。

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