シトリックス、仮想化導入の負担軽減を目指したXenServer最新版を発表

シトリックスは、メモリ制御やユーザー権限に基づく管理機能などを搭載した「XenServer 5.6」を発表した。

» 2010年06月15日 17時19分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 シトリックス・システムズ・ジャパンは6月15日、サーバ仮想化製品群の最新版となる「XenServer 5.6」を発表した。エントリーモデルとなる「Advanced Edition」を追加するなど、多様な顧客層に合わせた製品構成を用意した。

 XenServer 5.6では、無償版と有償版のAdvanced Edition、Enterprise Edition、Platinum Editionの4つの製品を展開する。サーバ仮想化に必要な機能を備えた無償版をベースに、Advanced Editionでは高可用性、レポートなどの管理機能を加えた。有償版の新機能として、「動的メモリ制御」(3エディション共通)、「ロールベース管理」(EnterpriseおよびPlatinum)、「StorageLink」「セルフサービスポータル」(Platinum)などを搭載した。

各エディションの機能

 動的メモリ制御機能は、ユーザーが仮想マシンを利用するために予約している物理マシンのリソースを、設定された範囲内で別の仮想マシンに割り当てることができるもの。仮想マシンの利用状況に応じて、物理マシンのリソースを柔軟に配分できるようになる。ロールベース管理機能は管理者、XenServerの運用担当者、仮想マシンの管理者といった担当者の役割に応じて、業務で利用する機能を制御する。内部統制などで求められる職務分掌に対応する。

 StorageLink機能は、ストレージの機能をXenServerから利用できるようにする。複数ストレージの管理や迅速なプロビジョニングが可能になり、災害復旧に対応したサイトを構築できる。セルフサービスポータル機能は、一般社員向けに仮想化環境の新規構築や既存環境の利用、ドキュメント閲覧のためのダッシュボードを提供する。仮想マシンを利用する社員自身が必要最低限の管理を行えるようになるため、情報システムなどの担当者の負担を軽減できるとしている。

 シトリックスは、中小企業から大企業、サービス事業者が自社の仮想化環境に応じた最適なエディションを選択できるようにしたと説明する。また、他社製品に比べて導入および5年間の運用コストが抑えられるのも特徴という。Advanced Editionでは導入時および5年後の運用コストが他社の同等製品に比べて約5分の1に、Enterprise Editionは導入コストが約3分の1に、5年後の運用コストが約4分の1になると同社では試算する。

 仮想化の導入でコスト削減に成功したユーザー事例も紹介した。ソフトバンクテレコムは25台の物理サーバで200台以上の仮想サーバを稼働するようにして、5年間の運用コストを13億9000万円削減した。SAPは物理サーバを750台から150台に削減し、総コストを35%削減したという。

ソフトバンクテレコムでの導入イメージ

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