「クラウド時代にふさわしいインフラパートナーを目指す」――CitrixのCEOCitrix Synergy 2010 Report

Citrixはデータセンターのクラウド化を支援する新製品や新サービスなどを多数発表した。

» 2010年05月14日 16時08分 公開
[國谷武史,ITmedia]
マーク・テンプルトン氏

 米Citrix Systemsは5月12〜13日(現地時間)、米カリフォルニア州サンフランシスコでユーザーカンファレンス「Citrix Synergy 2010」を開催した。デスクトップ仮想化をテーマにした初日の基調講演に続き、13日の基調講演では、マーク・テンプルトン会長兼CEOがデータセンター向けの新施策を発表した。

 同社は、2009年にサーバ向けハイパーバイザー製品であるXenServerの一部無償化や、アプライアンスとして提供していたアプリケーション配信製品「Netscaler」に、XenServer上で動作するソフトウェア版Netscaler VPXを追加(アプライアンス版はNetscaler MPXと呼称)するといった施策を実施した。

 テンプルトン氏は、「データセンターの仮想化やクラウド化では運用における柔軟性をいかに向上させるかが重要だ」と述べた。同社は、データセンターを運用する企業やサービス事業者のインフラパートナーとしての立場に注力する方針を表明した。

 テンプルトン氏によれば、インターネットユーザーの75%はNetscalerで配信されるアプリケーションやコンテンツを利用しているという。また、サーバ仮想化市場におけるXenServerの存在感も増していると話した。米小売大手のTescoが1000台以上のXenServerを導入したケースや、クラウドサービス大手のRackspaceの標準プラットフォームにXenServerが採用されたことを紹介した。

 Netscaler関連の新施策では、100Gbpsのトラフィックに対応したNetscaler MPXのハイエンドモデルやMicrosoft Hyper-Vで動作するNetscaler VPX for Hyper-Vの投入、トラフィックの急激な増加に対処できるようにするためのライセンス「PayGrow Burst Pack」の発売を予定する。

 Netscaler VPX for Hyper-Vは、MicrosoftのSystem Center上で管理できるのが特徴。ExchangeやSharePointといったMicrosoft製品のデータを効率的に配信するためのテンプレートも提供し、専任のシステム管理者がいない中小企業でも容易に導入できるようにしている。出荷は今夏の予定だ。

PayGrow Burst Packのコンセプト

 PayGrow Burst Packは、90日間限定でNetscalerのトラフィック処理能力を高められるライセンスで、6月に発売する。Netscalerの一部製品では、平時のネットワーク環境の処理能力に応じて課金する「Pay-As-You-Grow」モデルを採用している。追加料金を支払うことでハードウェアを変更することなく処理能力を高められるが、PayGrow Burst Packは期間を限定することで安価にしている。

仮想化基盤の新たな取り組み

 テンプルトン氏は、5月28日に最新版のXenServer 5.6を出荷することも明らかにした。同バージョンでは拡張性やパフォーマンスの向上、メモリ最適化、ユーザーのセルフポータル機能などを搭載する。ラインアップは無償版、有償版の中小向け「Advance」、同中規模向けの「Enterprise」、同大規模向けの「Platinum」の4種類。有償版の価格は1000/2500/5000ドルを予定している。

 また、データセンター事業者向けにクラウド化を支援する7種類のソリューションメニュー「On-Bording」「Development and Test」「Disaster Recovery」「Compliance」「On-Demand Applications」「On-Demand Desktops」「On-Demand Demos」も発表した。

クラウド化を支援するソリューション群

 これらは、データセンター事業者がサービスを立ち上げる際に必要となるソフトウェアやドキュメントをセットにして提供するもの。例えばOn-Demand Desktopsでは、事業者がデスクトップ環境をサービスとして提供する場合に、サービス基盤を最適な形で運用できるよう支援する。いずれのメニューも開発途上にあり、正式な提供時期は未定。

 テンプルトン氏は、「インフラパートナーとしての役割に注力し、データセンターのクラウド化を推進する企業やサービス事業者が独自色を出していける環境を支援していく」と表明した。

基調講演には、前日に発表したノートPC向けハイパーバイザー「XenClient」の開発で協業するDellのマイケル・デルCEOも登壇。「クラウド時代にふさわしいユビキタスなデバイスやシステム基盤製品を提供していきたい」と話した

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