Microsoftも、Appleも、Oracleも――IT大手はなぜ“訴訟戦法”に走るのか(1/2 ページ)

Androidを恐れるMicrosoftやAppleは、ライバルを妨害するための「先制攻撃としての特許訴訟」に打って出ている。だがこの戦法に力を入れれば、いずれ落日を迎えることになるだろう。

» 2010年10月12日 08時10分 公開
[Wayne Rash,eWEEK]
eWEEK

 小型コンピュータビジネスの歴史(メインフレーム時代後、ということだ)において常に言えることの1つは、革新を生み出す企業と、主に訴訟によって存続している企業の間には根本的な違いがあるということだ。これらの企業は時に逆の立場に立つこともあるが、訴訟の側にあまりに多くの時間を費やすようになると、どちらの側でもなくなってしまう。次第に無価値な存在になっていくからだ。たいていの場合、そうした企業はよりよい製品を作ることではなく、気にくわないやり方で新しいものを作った企業と戦うことにエネルギーを注ぐ。

 その初期の例が、1980年代初めにこのビジネスにかかわっていた人以外、誰も覚えていないであろう企業の悲しい物語だ。このAshton-Tateという企業は初め、小型コンピュータ向けの便利なデータベースソフト「dBASE」を開発していた。このソフトはよく売れ、それまでになかったある程度の機能と使い勝手を実現していた。Windowsの人気が出始めたころには、ほかの企業も便利な機能を持つデータベースソフトを開発するようになっていた。

 当時dBASE IIIを立ち上げていたAshton-Tateは、目についたすべての企業を特許と著作権の侵害で訴え始めた。最後にはリソースを奪われ、プログラミング言語を他社に渡し、静かに消え去っていった。最近では、Linuxの革新に訴訟で立ち向かおうとしたSCOが同じ道をたどっている。SCOは消えかかっており、人々は、同社が近いうちに自業自得の死を迎えることを期待している。

 そして「訴訟による競争」のプロセスが再びその醜い頭をもたげ、企業は法廷で革新をつぶそうとしている。Oracle(興味深いことに、Ashton-Tateの最初のライバルだった)はAndroidをめぐってGoogleを訴えているMicrosoftはMotorolaを訴えAppleも訴訟を起こしている(訳注:その後MotorolaもAppleを訴えた)。いずれも、MotorolaあるいはGoogleが特許を侵害したと主張している。こうした訴えが結局うまくいくのかどうかは分からない。

 だが、これら訴訟のタイミングは奇妙だ。急にDROIDシリーズの人気が出て、Androidが一番ホットなスマートフォンになるまでは、誰もGoogleやMotorolaを困らせたりはしなかった。人気が出てから突然、訴訟がたくさん起きたのだ。

 企業がこんなふうに互いを訴えるのには、基本的に2つの理由がある。1つは、原告側の企業が正当に保有している特許が実際に侵害されているから。だがそういう場合、たいてい訴訟は侵害が起きてからすぐに起こされるし、訴えが正当ならば原告企業は通常、ライセンス契約を求める。このような訴訟はだいたい和解に達し、皆が幸せになる。つまるところ、特許の目的は、発明者が自身の発明から利益を得る方法を与えることにある。

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